2011年10月5日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 1人の男が、巨体をゆすり米・ニューヨークの金融の街、ウォール街へ“突入”する。「私たちのお金を返してくれ」と求めて▼マイケル・ムーア監督の記録映画「キャピタリズム―マネーは踊る―」に写った、監督自身の姿です。ムーア氏は、100年に1度といわれる金融危機をひきおこした銀行や証券会社の責任を問い、ウォール街に乗り込んだのでした▼リーマン・ショックの金融危機から3年。映画の公開から2年。いまウォール街で抗議するのは、1人ではありません。数百人から千数百人の若者たちが連日、公園に座り込んで行進を続けます。ムーア氏も激励にかけつけました▼合言葉は、「ウォール街は私たちの通り」です。共通の要求は、市場経済の行き過ぎや格差の広がりを改めること。10年のアメリカの貧困層は4618万人。前年から258万人ふえ、人口の15・1%を占めます(国勢調査)▼映画「キャピタリズム」は、人口の1%の金持ちが95%の人々より多く富を握る、アメリカを告発しました。オバマ大統領が富裕層や大企業にもう少し税金を払わせると提案すると、野党の共和党が猛反発する始末です。「階級闘争だ」と。有名な富豪ウォーレン・バフェット氏らも“増税してもらってけっこう”といっているのに▼「アラブの春」の風をうけた「ウォール街の春」を、人ごとと思えません。09年に貧困人口が16%を占めるにいたった日本(国民生活基礎調査)。そのうえ、貧困層を痛めつける消費税の増税とは。





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