2011年10月4日(火)「しんぶん赤旗」

空自 「米軍へ空中給油」覚書

昨年締結 海外軍事作戦の拡大に


 航空自衛隊の空中給油機が共同訓練の際に米軍機に給油できる「覚書」(MOU)を自衛隊と米軍との間で昨年10月に締結していたことが明らかになりました。米軍と自衛隊の間で燃料や物資などを融通しあう物品役務相互提供協定(ACSA)に基づくものです。藤村修官房長官が3日の記者会見で認めました。


 これまで、日米共同訓練では米軍機から自衛隊機に空中給油を行うことはありましたが、自衛隊機が米軍機に給油を行ったことはありません。

 藤村長官は「日米共同訓練で自衛隊から米軍への空中給油を可能にする、現場の覚書というレベル」だと述べ、訓練に限定された実務的なものだとの認識を示しました。

 しかし、ACSAは改悪に改悪を重ねており、共同訓練だけでなく日本有事や周辺事態まで適用されるようになっています。この協定自体が実戦での空中給油まで可能にしており、今回の「覚書」がその突破口になりかねません。

 藤村官房長官は、記者会見で憲法解釈や集団的自衛権の行使との関係を問われると、「細かくは防衛省に聞いてください」と説明を避けました。

 自衛隊の空中給油機(KC767)は、2008年に愛知県の空自小牧基地に初めて配備され、現在は4機が運用。C130H輸送機にも空中給油機能が追加されています。2010年、11年6月から7月にかけて米アラスカ州で行われた米空軍演習「レッド・フラッグ・アラスカ」にも参加しており、来年以降、同演習で自衛隊が米軍に空中給油を行う可能性があります。


配備の是非問い直せ

 愛知県平和委員会の矢野創事務局長の話 他国に侵略的な兵器は持たないとする政府見解の下で、自衛隊機の長距離侵攻を可能にする空中給油機そのものが憲法違反です。それに対し防衛省は、空中給油ができれば離着陸の回数が減るし、事故・騒音の軽減にもなるからという口実で配備しました。他国に侵略攻撃をしている米軍の戦闘機に給油をするなど、今までの話と全く違います。

 また、今回の覚書はこれ以上の基地機能強化は認められないという地元自治体(小牧市、春日井市、豊山町)の立場とも反します。空中給油機は「自衛隊の輸送機能だ」ということで押し付けられたのですから。防衛省には説明を求めたいし、各自治体も配備の是非を改めて考えるべきです。





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