2011年9月29日(木)「しんぶん赤旗」

「やらせ」関与を否定 責任逃れ

佐賀県知事 独自調査も拒否


 九州電力の玄海原発再稼働を狙った世論誘導の「やらせメール」への関与が問われている古川康・佐賀県知事は28日、県議会原子力安全対策等特別委員会に出席、「やらせメール」についての自らの責任を否定する答弁に終始しました。

 古川知事は、九電の第三者委員会(郷原信郎委員長)が中間報告で知事の発言が発端となったと認定した九電側作成メモについて「私の真意と距離がある」と答弁。佐賀支店長(現佐賀支社長)が知事と九電幹部の懇談時に作成した手帳への走り書きと「メモ」の内容が一致することをもって、第三者委員会が知事の発言を裏打ちしているとしている点についても「走り書きは、書いた本人の意図によるものだ」として、「あくまで九電の責任だ」と強調しました。

 「あのタイミングに九電の幹部に会って、再稼働について触れたのは間違いだった」としながらも、「九電に対して、私が何かの意図をもって九電の幹部に話をしたわけではない」とのべました。

 「県政の信用を失墜させた責任を取るべきだ」と追及されても「私の真意と違うメモによって起きたことに責任を取る必要はない」と拒否。県による独自調査を求める質問にも「必要な調査はしてきた」と否定しました。


解説

真相究明が必要

 「(メモは)私の真意と違う」「私に『やらせメール』についての責任はない」。古川康・佐賀県知事は28日の県議会特別委で、自身の関与や責任を否定しましたが、質疑を通じて知事が「やらせメール」の発端となったことが明白になりました。

 特別委で知事は、「県民説明番組」直前の6月21日に九電幹部と会って、「再開を求める経済界の声を出すことが必要だ」と伝えたことや「番組」への参加について「インターネットで意見を受け付けている」と伝えたことを認めました。

 懇談後、九電幹部は「番組」への「周知の必要性」を認識し、懇談のメモを添付するなどして社内や取引先に当日賛成の立場で投稿するよう求めるメールを送信しました。

 一連の事実から、知事の発言が「民意」をゆがめた「やらせメール」の発端になったことは明らかです。それでも知事は、自身の責任を否定するだけではなく、第三者による県の対応をめぐる調査委員会の設置をかたくなに拒んでいます。

 日本共産党の武藤明美県議は「知事は言い逃れと責任逃れに終始しました。外部の調査委員会や県議会への百条委員会の設置で、真相究明が必要です」と語っています。 (内田達朗)





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