2011年9月24日(土)「しんぶん赤旗」

緊縮やめ雇用創出を

G20に世界の労組が声明


 国際労働組合総連合(ITUC)、国際金属労働組合連盟(IMF)など主要な国際労働団体が21日、20カ国・地域(G20)に向けて共同声明を発表し、労働者を犠牲にした緊縮財政をやめ、雇用創出を経済政策の中心に据えるよう求めました。


 26〜27日、パリでG20雇用担当相会合が開かれるのを前に、労組の要求を示しました。

 世界で再び景気が減速し、財政赤字の拡大を理由に、各国政府が緊縮政策を強めています。これについて声明は、「財政赤字は弱い民間需要の結果である。原因ではない」として、緊縮政策が景気を冷え込ませて、さらに財政を悪化させることに警告を発しました。そして「雇用と生産の拡大によって財政赤字を削減すべきだ」と主張しました。

 また、過去20年間、経済格差が広がったことが今日の危機の原因の一つだと批判し、「雇用の質を向上させ、所得の不平等を縮めるよう、構造政策を改めるべきだ」と訴えました。「雇用創出をマクロ経済政策の中心に据え、財政政策を成長と雇用創出に適したものにするよう、G20首脳は強いメッセージを打ち出さなければならない」と呼びかけました。

 雇用を2008年の世界経済危機以前の水準に回復するには、15年までにG20だけで1億1000万人の雇用を創出する必要があると指摘しました。そのため、G20が雇用創出の目標を掲げ、政策協調を強めるべきだと提起しました。

 声明は、財政赤字に対処しつつ、雇用や公共サービスを守るための財源確保にも言及。タックス・ヘイブン(租税回避地)への規制や金融取引税の導入を検討するよう提案しました。

 声明は、「今回の危機を最後に規制緩和、“柔軟”な労働市場モデルを促進するイデオロギーを終わらせなければならない」として、政労使による社会対話の確立や団体協約の重要性について、G20雇用担当相会合が明確に発言すべきだと要請しました。

 所得の不平等を解消する対策としては、(1)団体協約による賃金の決定(2)賃金格差を縮める税制(3)企業トップの高額報酬を規制するための政府の直接介入(4)最低賃金の引き上げ―などを提起し、社会保障の拡充も求めました。

 さらに、労働者の基本的権利を守るために政労使3者で構成する国際労働機関(ILO)の強化を呼びかけました。G20としても、ILOの基本的条約を批准するよう各国政府に呼びかけるべきだと強調しました。





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