2011年9月17日(土)「しんぶん赤旗」

産業復興機構設立へ

岩手県が関係機関と合意成立


 岩手県は16日、東日本大震災の被災事業者を二重債務から救済する「産業復興機構」の設立について、金融機関などの関係機関との合意が成立したと発表しました。これにより、同機構は、10月上旬にも正式に発足する見込みです。

 県との合意は、県内にあるすべての金融機関と県信用保証協会、盛岡商工会議所などを含むもの。各金融機関の役員会の承認を得て正式に発足します。

 二重債務問題は、東日本大震災で工場などを失った事業者の震災前の債務が重く、新たな融資を受けて事業の再生が進まないという問題です。

 県が新しく立ち上げる「産業復興支援センター」が再生可能と判断し、同時に金融機関が新規融資を認めた事業者について支援します。産業復興機構が震災前の事業者の債権を買い取ります。

 これにより、事業者は返済を凍結することができます。凍結後5年をめどに返済再開の可否を判断。同機構は、その時点で債権の一部を放棄し、残りの債務は、事業者が金融機関に返済することになります。

 同機構の存続期間は最大15年程度としています。

 県内の商工会、商工会議所に「産業復興支援センター」の地域事務所を設置します。農事組合法人、医療法人なども支援の対象とします。

解説

期待に応える再生支援を

 二重債務解消に向けた公的支援の機関は、被災地の願いを受け、日本共産党をはじめとする国会での活発な議論で、設立されました。債権買い取りについては、政府が当初示した民間ファンド会社活用案を撤回し、政府機関が8割、地元金融機関が2割の出資で、各県総額500億円を資金とする公的機関の設置となりました。岩手県に次ぎ宮城、福島県などでも設立が予定されています。

 被災事業者は、機構に大きな期待をしています。産業復興機構や産業復興支援センターによる実際の運用が、その期待に応え、再生の意思のある全ての事業者の再生支援となることが求められています。(大小島美和子)





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