2011年9月17日(土)「しんぶん赤旗」

主張

衆参代表質問

米・財界直結を転換してこそ


 野田佳彦首相の所信表明演説に対する衆参両院での各党の代表質問をじっくりと聞きました。

 民主党政権が誕生して16日で2年。2人の首相が短期間で退陣し、民主党への国民の失望と批判が高まる中での新内閣の誕生です。日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長はそれぞれ、東日本大震災の復旧・復興や東京電力原発事故への対応、「社会保障・税一体改革」や普天間基地「移設」問題などについて新内閣の基本姿勢をただしました。野田首相の財界直結・アメリカ直結ぶりがいっそう浮き彫りになりました。延長国会での徹底追及が不可欠です。

国民の願いに応えない

 野田首相は、政権発足前から経団連などの財界詣でを重ね、オバマ米大統領に沖縄での新基地建設を確認するなど、財界直結・アメリカ直結ぶりを示しています。所信表明演説に続く代表質問への答弁でも、肝心の問題では官僚答弁を読み上げるだけで、国民の願いに応える姿勢はありません。

 野田氏は所信表明演説で、東日本大震災や東電福島原発事故など「国難に立ち向かう」とはいいましたが、具体策は不十分でした。代表質問で志位委員長や市田書記局長が、被災者の生活と生業(なりわい)再建のために政府は責任をもって支援すべきだと追及したのは、被災者の切実な願いに応えるものです。

 野田氏は、「二重ローン」問題に対応する「産業復興機構」の設立や民間医療機関への支援の必要性は認めましたが、国が責任をもって支援に当たるという姿勢は明確ではありません。しかも、大企業を水産業に参入させる「水産特区」や農業を破壊する環太平洋連携協定(TPP)への参加、「復興増税」を国民に押し付けるなど、復興を妨げることもやめるとは答えませんでした。国民の願う復興より、財界やアメリカを優先させる態度は明白です。

 原発事故への対応でも、事故の収束や汚染の除去、被害の賠償に加え、原発からの撤退を決断するかどうかが問われています。野田氏は「脱原発」と「推進」の二項対立は「不毛」というばかりで、志位委員長が「新設は困難」というなら建設中の原発はどうするのかと追及しても答えません。定期点検で停止中の原発は、総合的に「安全」と判定すれば再稼働を認めるとしました。原発の「安全神話」を続けることになります。

 野田氏は所信表明演説で、日本経済の立て直しがもうひとつの最優先課題だといいました。ところが市田書記局長が異常な円高を繰り返さないため内需主導への改革を求め、大企業の利益を労働者と中小企業に還元するよう迫っても答えません。大企業減税を柱にした「成長戦略」を繰り返すだけです。これでは新内閣に円高是正も経済立て直しも期待できません。

政治が変わらないのは

 野田氏は、消費税の増税や米軍普天間基地の「移設」問題でも、これまでの公約違反を改めようとはしない、反省のない態度です。

 民主党政権発足から2年、世論調査でも政権交代を「あまり評価しない」「まったく評価しない」が72%という結果がでています(NHK)。政治が変わらないのは、アメリカ・財界直結の政治が続いているからです。看板は民主党でも中身は自民党と同じ政治を、土台から切り替えることが急務です。





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