2011年9月13日(火)「しんぶん赤旗」

主張

サッカー女子代表

選手たちの決意生かすために


 今度は、来夏に開かれるロンドン・オリンピックへの出場権を見事に勝ち取りました。

 中国・済南で行われていた女子サッカーのロンドン五輪アジア最終予選。日本代表は、負けなしの4勝1分けで1位となり、上位2チームに与えられる五輪への切符を手にしました。

“超過密日程”はねのけ

 予選独特の厳しい争いに加え、11日間に5試合もこなす“超過密日程”が選手らを苦しめました。これには佐々木則夫・代表監督も「中1日で試合が続く。健康にも良くないし、選手も良いサッカーができない。これを機に検討してほしい」と改善を求めています。

 まして、日本の選手たちは初優勝を飾ったドイツ・ワールドカップ(W杯)から最終予選までの約1カ月半、国内の盛り上がりに多忙な日々を送りました。

 休息や練習時間も満足にとれないまま臨み、チームは「本調子ではない」(佐々木監督)状態が続きました。そのなかで選手たちは疲れた体にムチ打ち、持ち前のねばり強さとひたむきなプレーで白星を重ねていきました。また、時に主力選手を休ませて若手の出場機会を増やしたことはチーム全体の底上げにもつながりました。

 今回、日本代表の心の内には、五輪出場を果たすことへの強い意気込みがありました。それは、せっかくW杯優勝で盛り上がった女子サッカー人気をここで途切らすわけにはいかないという並々ならない決意でした。

 主将の沢穂希(ほまれ)選手は最終予選終了後、「日本に女子サッカーが根付き始めていると感じる。プレッシャーもあるけど、若い選手も含め、責任を背負っていかなくてはならない」と口にしています。

 彼女たちの強い思いの根っこには、これまでの困難な競技環境があります。

 日本にはサッカーを職業とする女子選手はほとんどなく、ほかに仕事をもちながらプレーしています。国内リーグに所属するチームも不況などの影響で休・廃部が後を絶たず、競技や練習の場を探し求めて転々とするケースも珍しくありません。

 今の代表選手たちも、そうした悲哀を少なからず味わってきました。だからこそ、人気を一過性のものに終わらせないという決意が、一人ひとりの力を尽くしたプレーに表れるのです。

 恵まれない環境下であきらめずに努力をつみ重ねて夢をかなえていく彼女たちの活躍は、東日本大震災後、重苦しさに包まれた被災地をはじめ多くの日本国民を励まし、感動と希望を与えました。

 それだけに、国や自治体は女子サッカーの競技力向上と底辺拡大のための本格的な支援に、乗り出すべきです。

五輪へ、課題も見えた

 次の目標となるロンドン五輪まであと10カ月余。最終予選を通じて課題もみえてきました。控え選手の能力向上や強い体づくり、そして代表チームへの支援体制の充実も欠かせません。そのためには、男子と比べても少ない強化費をはじめ、財政的な支えが必要です。指導者の育成も同様です。

 厳しい条件のなかで、さまざまな期待にこたえようと奮闘する女子イレブン。それを応援するためにも、社会的な支援を求める活動をひろげることが大切です。





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