2011年9月10日(土)「しんぶん赤旗」
雇用対策で新法案
減税・インフラ整備を
28万人の教員採用拡大も
米大統領
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は8日、米上下両院合同会議で演説し、社会保障税の減税拡大や公共投資によるインフラ整備の推進、教職員の雇用拡大などを柱とする「米国雇用法」を提案し、早期成立を議会に求めました。
対策規模は4470億ドル(約34兆6700億円)。オバマ氏自身、「この法律ですべての問題が解決すると言い張ったりはしない」と述べたように、失業率が9・1%で高止まりする深刻な雇用情勢に対応する緊急対策の色彩の濃いものとなっています。
このうち社会保障税の減税では、対象を従業員だけでなく雇用者にも拡大。公共投資では、高速道路や橋などの交通基盤整備、老朽化した少なくとも3万5000棟の校舎改修などに1400億ドルを提案しました。
さらに「韓国が教員の数を増やしているときに、われわれは教員の首を切っている。これは米国の子どもたちにとって公正ではない」として、28万人の教員採用拡大を提案しました。
また、若年層や退役軍人などの就業支援策の一環として、新規雇用を拡大する中小企業や、6カ月以上求職中の失業者を採用した企業への税控除を提案しました。
一方、財源については、高齢者向け公的医療保険制度(メディケア)などの歳出抑制策や共和党が反対する高額所得者・大企業への優遇税制の見直しを挙げました。
共和党が富裕層増税に反対していることについては、「億万長者への減税を維持するのか、子どもたちの大学進学や就職を援助する教職員を職に戻すことに使うのか。これこそ、真の選択だ」と対決姿勢を示しました。
また「経済危機を口実として、米国民が長年頼ってきた基本的な保護策を根こそぎにすることはしない」と表明。労働者の団体交渉権を制限する主張などには反対すると強調しました。
下院で過半数を握る共和党は、オバマ政権の政策を「大きな政府」論として批判し、新たな財政出動策に反対する姿勢です。