2011年9月9日(金)「しんぶん赤旗」

やらせ「知事発言が発端」

九電玄海原発「メール」問題

05年も「仕込み質問」

佐賀


 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる「やらせメール」問題で、同社が原因究明のために設けた第三者委員会(郷原信郎(ごうはらのぶお)委員長)は8日、古川康県知事の発言が、やらせメールの発端になったと認定する中間報告を発表しました。ことし6月26日の「佐賀県民向け説明番組」に寄せられた賛成意見286通中、141通が「やらせ」によるもので、世論の「ねつ造」に関与した知事の責任が厳しく問われることになります。


中間報告

 問題の発言は、6月21日に古川知事が当時の段上(だんがみ)守副社長ら九電幹部3人との懇談で行ったものです。

 同席した佐賀支店長が、古川知事の発言要旨を「今後の動きに関連して、以下の2点を九電にお願いしたい (1)(要旨:県議会議員の支持者へのお願い)(2)『国主催の県民向け説明会』の際に発電再開容認の立場からも、ネットを通じて意見や質問を出して欲しい」などと記録しました。

 その後、段上副社長が支店長にメモにまとめるよう指示し、完成したメモを副社長が確認。その上で、社内文書として、当時の原子力発電本部の原子力管理部長に送られ、メモをもとに「佐賀県民向け説明番組」への賛成意見の投稿などが組織されたとしています。

 第三者委員会は中間報告で「古川知事が懇談の場で同メモの記載と同様ないしは同趣旨の発言を行ったことは否定しがたい」と認定しました。

 報告はこのほか、2005年12月に行われた佐賀県主催のプルサーマル公開討論会で、参加申込者約1000人のうち九電関係者が650人を占めていたことを報告。会場で発言した18人のうち、「最低でも7〜8人」が九電の「仕込み質問」だったことがわかりました。

 また、10年5月の鹿児島県の川内(せんだい)原発に関する国主催の公開ヒアリングでは、九電が意見陳述人を組織。経済産業省が選んだ20人の陳述人のうち、15人が九電の協力を受けた人でした。

 会見で郷原委員長は、「(知事発言がなければ)おそらく、『やらせ』行為は出なかったのではないか」との認識を示しました。





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