2011年9月2日(金)「しんぶん赤旗」

米大企業トップと労働者

賃金格差325倍


 米国の大企業100社の中で、4分の1にあたる25社が連邦政府への法人税納税額より高い経営者報酬を支払っていることが、米民間研究機関の調査報告で明らかになりました。上位企業の最高経営責任者(CEO)と労働者との賃金格差は325倍に広がっています。 (西村央)


法人税より高い報酬も

 この調査は、ワシントンに本部がある政策研究所が2010年の、経営者の報酬が高い上位100社を対象として実施したもの。うち、法人税納税額よりCEO報酬が高い25社については、「景気後退が続いているもとで、労働者の賃金が後退期から回復していないにもかかわらず、CEOの報酬は上昇している」と指摘しています。

 25社中、CEO報酬がもっとも高いのは、世界最大の電動工具メーカー、スタンレー・ブラック・アンド・デッカーで、年額3257万ドル(24億9000万円)、前年比3・5倍となっています。同社では利益が前年より若干減少し、4000人のレイオフ(一時解雇)を断行しました。ほかにはコカ・コーラや自動車大手のフォード、ゼネラル・エレクトリック(GE)などが名を連ねています。

 米国内上位500社CEOの平均報酬と労働者の平均賃金の格差では、2009年の263倍から10年は325倍にアップ。金額では年額1076万2304ドル対3万3121ドルと文字通りの桁違いです。

 調査報告は大企業が課税逃れに躍起になっていることも紹介。連邦政府が福祉や教育といった国民向けの基本的施策を維持するための歳入が必要となっている時の課税逃れは、「社会基盤整備や国民向けサービスへの投資機会を減らし、これら事業に依存している企業にも影響を与える」と警告を発しています。


 CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー) 日本語では最高経営責任者のこと。米国型企業において経営実務に最高の責任と権限を有する担当者です。成果を上げれば莫大(ばくだい)な報酬を得られますが、成果を上げられないと判断されれば取締役会ですぐに解任させられます。





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