2011年8月25日(木)「しんぶん赤旗」

10年前GDP下回る

パレスチナ経済 失業率改善なし


 国連貿易開発会議(UNCTAD)は23日、パレスチナ人民援助に関する年次報告を発表し、占領パレスチナ地域の経済は昨年、9%の成長を記録したものの、2009年以来続く30%もの失業率は改善せず、1人当たり国内総生産(GDP)は1999年のレベルから7%低い状態にとどまっていることを明らかにしました。

 同報告によると昨年、ガザ地区は15%、ヨルダン川西岸地区は7・6%の成長を記録しました。しかし、この経済成長は経済の持続可能な成長の結果ではなく、10年来続いた経済後退と産業破壊からの回復にすぎないと分析。昨年の経済成長は、援助や公共支出に依存したもので、民間部門の回復はイスラエルによる「分離壁」の建設、移動規制などによって制約を受けているとしています。

 また報告は、第三国からイスラエルを経由したパレスチナへの「間接輸入」が大規模に行われている結果、膨大な財政上の損失をもたらしているとも指摘しています。

 国際的な協定によりイスラエルからパレスチナへの輸入には関税はかけられません。イスラエルが第三国から輸入してパレスチナに再輸出した場合、輸入関税がイスラエルの国庫に入ります。こうした再輸出品はイスラエルからの輸入の約58%を占めており、直接輸入できればパレスチナ政府の歳入となるはずの年4億8000万ドルが失われていることになると報告は指摘しています。


 占領パレスチナ地域 国連はイスラエルの占領下のパレスチナ領を占領パレスチナ地域と呼んでいます。人口約160万人、面積365平方キロのガザ地区、人口約250万人、面積5655平方キロのヨルダン川西岸(東エルサレムを含む)からなります。1993年の暫定自治宣言に基づき、外交、治安、行政の権限を持つ自治政府が成立していますが、ユダヤ人入植地やイスラエル軍施設・道路には自治政府の権限が及んでいません。

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