2011年8月19日(金)「しんぶん赤旗」

大阪府知事 新庁舎全面移転を断念

専門家指摘 地震で揺れ13メートルも


 橋下徹大阪府知事は18日、大阪市中央区大手前にある現庁舎の咲洲庁舎(旧WTC、住之江区)への全面移転を断念すると表明しました。

 大阪で震度3だった東日本大震災で、256メートルの高さの咲洲庁舎は、超高層ビルで唯一、被害が発生しました。これをうけて、大阪府は咲洲庁舎の安全性と防災拠点のあり方を検討する専門家会議を設置し、検討を重ねてきました。

 この日、橋下知事は専門家会議の4人の委員と意見を交換しました。委員らは、ビルと地盤が共振し、揺れが増幅する最悪の組み合わせとなっており、発生が予想されている東海・東南海地震では往復13メートルもの大きな揺れが生じる可能性があると強調。建物として安全に使用するには耐震補強に高いハードルがあり、災害時に働かねばならない人がいる場所としては不適切で、周囲の浸水の可能性、地盤の特性を指摘し、「防災拠点は現庁舎が筋」と意見を述べました。

 橋下知事は「指摘は重く受け止める。全面移転はやめないといけない。災害対応の拠点とするのは難しい」として、移転条例案も提出しないと言明しました。

 咲洲庁舎をめぐっては橋下知事が「大阪・関西活性化の起爆剤」といって全面移転を目指してきました。

 日本共産党は、防災拠点になり得ないとして移転にもビル購入にも反対しましたが、議会でビル購入が可決され、現在約2000人の職員が勤務をしています。





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