2011年8月19日(金)「しんぶん赤旗」

国際社会で通用しない野田氏の戦犯擁護発言


 民主党代表選への出馬が取りざたされている野田佳彦財務相の“A級戦犯は戦争犯罪人ではない”とする歴史認識が、国際的にも問題になっています。

 日本がおこした戦争は、“自存自衛”の名のもとに「生命線」「勢力圏」などといって他国の領土を奪うことを目的にした点でも、暴行と略奪、過酷な強制労働へのかり立てなど際立った無法さと野蛮さを持った点でも、まぎれもない不正不義の侵略戦争です。それは国際社会の共通認識です。

 その侵略戦争を指導した責任者が裁かれるのは当然です。だからこそ日本政府も1951年のサンフランシスコ平和条約で東京裁判を受け入れたのです。

 ところが野田氏は、A級戦犯は「事後的に考えた戦争犯罪の分類」で、「そもそも戦争犯罪人に該当しない」(2006年10月の質問主意書)などと主張しています。

 野田氏の主張は、戦争指導者を「戦争犯罪人でない」と言うことを通じて、日本の戦争が侵略戦争であったことを真っ向から否定するものです。この立場は、“敵である連合軍が一方的な裁判で押しつけたぬれぎぬだ”とする靖国神社の立場と同じものです。

 こうした野田氏の主張は、日本の侵略と植民地支配に「痛切な反省」と「心からのお詫(わ)び」を表明した村山首相談話(1995年)に示された日本政府の認識をも否定するとともに、戦後国際社会の土台を根底からくつがえすものでもあります。

 現職の財務相で、与党の代表・首相をめざす人物が「日本の戦争を侵略戦争と認めない」というに等しい認識を示したことは重大です。閣僚を辞任すべきです。

 靖国神社参拝に固執し続けた小泉純一郎首相が内外の批判を受け国際的に孤立した例をみるまでもなく、侵略戦争への反省もない人物は、国際社会からまともに相手にされることはないでしょう。 (竹原東吾)





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