2011年8月17日(水)「しんぶん赤旗」

「アフリカの角」危機的

食料価格 高い水準

世銀報告 貧困・治安指摘も


 世界銀行グループは15日、季刊の「食料価格監視報告」を発表し、7月の世界の食料価格は依然として高い水準にあるとし、この状態が続くと、発展途上諸国の最貧層の人々の危機状況は継続すると警告しました。報告は特に、アフリカ北東部の「アフリカの角」地域の食料状況の悪化を指摘しています。

 報告によると、世銀の世界食料価格指数は7月に昨年同月比で33%上昇、2008年の食料危機の際の水準に近くなっています。これはトウモロコシ84%、砂糖62%、小麦55%、大豆油47%など価格上昇によるもの。原油価格が昨年比で45%上昇したことが生産コストを押し上げ、肥料価格も67%上昇しました。しかし報告は、食料価格は2月をピークに下落の傾向にあるとしています。

 干ばつと紛争が続くアフリカの角のソマリアでは、子どもの栄養失調の割合が40%を超え、過去3カ月間で5歳未満児2万9000人が死亡しました。

 報告は、同国の数地点の調査で、主要食料であるソーガム(トウモロコシに似た穀草)が7月までの1年間に170%から240%、トウモロコシが94%から154%値上がりしたことを挙げ、生活費の上昇の主因は食料価格のインフレであると指摘しました。

 しかし、飢饉(ききん)の原因はそれにとどまらず、干ばつなどの気象条件や1991年から続く武力紛争、国内避難民の発生などの影響も大きいと強調しています。

 ゼーリック世銀総裁は「アフリカの角のように食料価格高騰、貧困、治安の悪化が複合して危機をつくり出しているところは世界でもない。短期的には貧しい人々への支援、中期的には経済復興、長期的には農業の建設が課題になる」と語りました。

 報告は世銀グループが四半期ごとに公表しています。





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