2011年8月10日(水)「しんぶん赤旗」

民自公3党合意

国民裏切り悪政共同推進

政治の信頼揺るがす


 これで政治そのものが成り立つのか―。民主、自民、公明3党が密室協議をへて確認した民主党の政権公約(マニフェスト)見直しの合意は、2009年総選挙での民意を踏みにじるだけでなく、政治の信用が根本から問われる事態です。 (高柳幸雄)


「金看板」

 今回の3党合意では、民主党が総選挙で国民に公約した主要政策のうち、高速道路無料化については「2012年度概算要求に計上しない」と明記。高校授業料無償化と農家への戸別所得補償に関しては「12年度以降、政策効果の検証を基に必要な見直しを検討する」としました。民主党が「金看板」政策とした「子ども手当」についても3党は、廃止し自公政権時代の児童手当を復活させることで合意済み。民主党は、これらの政策を「バラマキ」と批判してきた自公に完全に屈した形です。消費税増税の押し付けや沖縄・米軍普天間基地の押し付けなど数々の裏切りを重ねてきた末、自民党政治への回帰を決定づけました。

 温暖化対策に逆行する高速道路無料化など民主党の公約には国民の要求からみて問題点が存在します。しかし、民主党自身が「国民との約束」「政権交代で変わったといえる政策」といって掲げてきた子ども手当や高校無償化などは、貧困と格差を広げてきた自公政治への国民の強い批判に後押しされた政策でした。高校授業料無償化については、つい最近まで「世界では無償化は当たり前だ。(政策から)削れとレッテルをはるものではない」(五十嵐文彦財務副大臣、7日のNHK討論)と自民党にいっていたのです。

党利党略

 国民に対する公約を政党がいとも簡単に投げ捨てる。しかも、国民の厳しい審判を受け政権を退場した自民党の言うがままに投げ捨てる。これでは、国民は選挙で何を判断基準にすればいいのかということになります。国民との約束を平然と投げ捨てて、政治が成り立つわけはありません。

 3党の密室協議でうまれた子ども手当見直しには「国民不在の政策変更だ」(沖縄タイムス5日付社説)など厳しい批判がおこっていますが、今回の3党合意はいっそう国民不在の党利党略を示すものです。

 しかも民主党が、主要政策を撤回してまでも自公と合意したのは、赤字国債発行のための特例公債法案を今国会で成立させるという国会対策のためです。一方、自民党は大企業・大資産家減税や米軍の「思いやり予算」などにはメスを入れず、世論と運動の反映として生まれた高校授業料無償化などを「バラマキ」といって批判にあけくれるだけでした。しかも、その特例公債法案の成立が菅直人首相の「退陣条件」だといって、民主、自公双方とも駆け引きにあけくれました。民主党の岡田克也幹事長は今回の3党合意を受けて「総理が退陣する条件でもあるので、成立すれば条件が整う」とまでいっています。

 このどさくさにまぎれて、今回の3党合意では「復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める」と、復興財源を決めてしまう考えまで盛り込みました。まさに、一方で、みにくい党略的政争、他方で悪政の共同推進そのものです。





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