2011年8月6日(土)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 広島市の山の上にたっていたABCCを見学したのは、40年以上前です。アメリカの原爆傷害調査委員会、略してABCC▼立ち入り禁止の場所を除き自由に歩けましたが、ほとんど人をみかけません。広い建物。夏というのに寒々とした気分。病院と違い、被爆者をモルモットあつかいして原爆の効果を調べるところでした▼原爆投下から1カ月近くたった9月3日、アメリカのラジオで特派員が報告しています。「死の町から戻ったばかりです。広島に初めて入ったアメリカ人として…。恐ろしい光景。原爆症とよばれる症状で1日100人の割合で亡くなっている」▼同6日、アメリカの調査団長ファーレル准将が報道を打ち消します。「死ぬべき者は死に、放射能のために苦しんでいる者はいない」。原爆は非人道兵器でないとみせかけつつ、核戦争に備え原爆の影響をくわしく調べ、真実を隠す。アメリカのやり方でした▼しかし、放射能の怖さは隠せません。人々の反核の願いを抑え込み、さらに日本に核兵器を持ち込むためにどうするか。アメリカは、核の「平和利用」をもてはやし、日本人の放射能への拒否反応を解く心理作戦を考えだしました▼きょう、「平和利用」の果ての福島原発事故のさなか、原爆投下から66年の日を迎えます。改めて被爆者への敬意が募ります。モルモットあつかいし、原爆の非人道性を狭くみなして被爆者を原爆症と認めない勢力に立ち向かい、身をもって「死の灰」の脅威を訴えてきたのですから。





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