2011年7月30日(土)「しんぶん赤旗」

ペルー新大統領が就任演説

貧困の痛みのない国に

最低賃金引き上げ実施へ


 【メキシコ市=菅原啓】ペルーのウマラ新大統領は、28日の就任演説で、国民の期待に応えた新たな国づくりの方向を説明しました。国民すべてが経済発展から取り残されることのないように、貧困や排除の「痛みを歴史から消し去るため」全力を挙げると約束しました。


 ペルーでは、1990年代以降の歴代政権が新自由主義政策を導入し、経済運営の多くが市場まかせとされてきました。この点で、ウマラ大統領は「国家が経済成長だけでなく、社会進歩の推進役として行動する」と強調。外国の経験には学びつつも、模倣はせず、「世界に開かれた国民市場経済」をめざすとのべました。

 新大統領は、選挙で公約した国民生活向上のための施策を改めて列挙。65歳以上のすべての高齢者への年金支給、0歳から3歳までの子どもをもつ貧困家庭への援助金支給、大学進学者への奨学金制度の拡充、小規模農家を対象にした融資制度などを段階的に実現していく立場を明らかにしました。

 長年凍結されてきた最低賃金については、25%の引き上げを8月と来年初めの2回に分けて実施。労働条件の改善や貧困対策を推進するうえで、企業家、労働組合、市民代表と政府が参加する「経済社会評議会」を新たに設置する考えを示しました。

 外交政策について新大統領は、米国寄りが顕著だった前政権のやり方を改め、南米諸国連合(UNASUR)やアンデス共同体など近隣諸国に目を向けた「多面的な外交」を発展させると表明しました。

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