2011年7月29日(金)「しんぶん赤旗」

二重債務解消へ共産党の緊急提案

大門実紀史議員に聞く

事業者すべて迅速に救済


 東日本大震災で被災した事業者の「二重債務」の解消は喫緊の課題です。日本共産党は「二重債務の解消にむけて―日本共産党の緊急提案」を発表(26日)しました。日本共産党の大門実紀史参院議員に聞きました。


写真

公的機構が買い取り

 ―二重債務とはどういう問題なのですか。

 大門 被災地では多くの事業者が店舗や工場などを失いました。新たな借金をして再開しようとしても、震災前の借金が足かせになっています。

 返済の一時変更や条件変更をした債務者は被災3県(岩手、宮城、福島)で1万8000人、債権額は5500億円に上ります。「せめてゼロから出発できるようにしてほしい」「過去の借金は何とかしてほしい」というのが切実な要求です。

 ―日本共産党は早くから国会で取り上げてきましたね。

 大門 被災地にも何回も足を運び、党の第2次提言(5月17日)では、国が「震災復興支援機構」(仮称)をつくって債権を買い取り、減免などを行うことを提起しました。民主党は当初、民間の再生ファンドが債権を買い取る案を出してきました。これに対し私は6月の参院予算委員会で「民間投資会社がもうけを受け取るようなファンドでは救済されるのは中堅企業だけで、多くの中小零細企業は救われない」と質問しました。菅直人首相は「さらなる検討をするよう努力したい」と答弁しました。

 被災地の団体や日本弁護士連合会などからも「零細企業は救われない」との声が上がり、政府は7月、公的機構をつくり支援を行うスキーム(枠組み)を発表したのです。

相談支援に第三者機関

 ―党の緊急提案はどんな内容ですか。

 大門 事業再開の意欲のあるすべての事業者を迅速に支援するために、国の責任を明確にした公的なスキームにします。事業性ローンは国の責任で買い取り、減免措置など支援を行います。個人の住宅ローンやリースなどの債権は機構が買い取り、復興支援策や住宅政策などが明確になるまで凍結します。

 金融機関まかせにせず、地域に密着した公的な性格を持つ第三者機関を被災各県に設け、相談支援などを行います。債権の買い取りについて被災者の立場で金融機関と調整するなど一定の権限を持った機関にします。

 事業再開に専念してもらうために、債務を凍結し、再び倒産や廃業を招くことのないように返済可能な水準まで債務を減額・免除するなど配慮します。

 

国民負担を最小限に

 ―債務の減額や免除をすれば、その損失は誰が負担しますか。

 大門 例えば借金2000万円のうち500万円しか返せないとなると、残りは金融機関と機構が負担することになります。

 機構の負担は、国民負担(税金投入)を最小限にするために、金融機関に適正な負担を求めるとともに、預金保険機構の資金を活用することを提案しています。預金保険機構は金融機関が出す保険料などで運営され、金融機関の破たんなどに対応するためにつくられました。1兆円を超える剰余金があります。今回、多くの金融機関が被害を受けるという事態のなかで、この資金を使う合理的根拠はあります。

 ―政府案と自民・公明の両案が出ています。

 大門 政府案は、債権買い取り規模があまりにも小さい。中小企業基盤整備機構の資金と金融機関の出資分合わせて2000億円程度です。小零細事業者が切り捨てられ、支援の速度も遅れる危険性があります。

 自公案は、公的機構の新設や買い取り規模も政府案より大きいなど前進面はあります。ただ第三者機関のような支援体制がなく、国民負担の最小化に向けた措置も不十分なため日本共産党は改善を求めてきました。

 私の質問に自民の提出者は「第三者機関をつくりたい」と答弁しました。28日の参院復興特別委員会では日本共産党は、被災者支援に資するものとして賛成しました。

 被災者は一刻も早い救済を求めています。日本共産党は、引き続き事業再開を願うすべての事業者が支援される枠組みをつくるために全力をつくしたい。

図




■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp