2011年7月28日(木)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 近所に住む年配の女性は、町内の独り暮らし高齢者を訪ね、声をかけています。ボランティアの見回り活動です▼間一髪で、災難から救ったときもあるそうです。たとえば、認知症がすすみ始めた女性の家に入ったら、若い男性とはち合わせに。彼は、法外な値段で物を売りつけようとして、契約にもちこむ寸前でした。すかさず、しかりつけて追い出したとか▼65歳以上の高齢者の独り暮らし世帯は、2010年に500万を超えました。501万8千世帯。厚生労働省の発表によれば、1986年からの24年間で3・9倍にふえています。65歳以上の人数の伸びは2・4倍ですから、独り暮らし世帯の増え方は急です▼独り暮らしをふくむ、65歳以上の人だけの世帯も1018万8千にのぼります。東日本大震災にあった宮城の名取市と塩釜市では、仮設住宅に入っていた高齢者が孤独死していたと報じられました。脳内出血や心臓病とみられます▼被災老人が誰にもみとられないまま亡くなる事件は、阪神・淡路大震災のあと相次ぎました。仮設住宅と復興住宅をあわせて560人を超す、といいます。家族や財産をなくし、喪失感を味わっていた人もいるでしょう。そのうえ孤独の中に息絶えるとは、あまりにも痛ましい▼「悲劇を繰り返すまい」。東北の仮設住宅で、自治会やボランティアの努力が始まりました。阪神・淡路大震災の経験は次の格言の精神が出発点だと伝える、といいます。「向こう三軒両隣、声をかけておはようさん」





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