2011年7月19日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 夏休みの季節です。厚生労働省の2010年就労条件総合調査結果によると、1年間に企業が付与した有給休暇は労働者1人平均17・9日で、実際に取得した日数は8・5日でした▼ロイター通信が24カ国を対象に行った調査では、有給休暇を使い切る労働者が最も多いのはフランスで89%(平均取得日数34・7日)、アルゼンチン、ハンガリー、イギリス、スペインと続き、日本は33%で最下位でした▼大震災・原発事故後、働き方を見直そうという声が高まっています。長時間労働や深夜労働を強いる大量生産・大量消費の24時間型社会は、エネルギー浪費社会でもあります。有給休暇を消化することは、低エネルギー社会への一歩になるかもしれません▼フランスの有給休暇(バカンス)について調査を続けているフランス在住のエッセイスト、デュラン・れい子さんは「フランス人にとってバカンスは、自分たちが勝ち取った権利であり、誇りなのです」▼1936年フランスの人民戦線政府は労働組合代表との間で、労働者に多くの権利を与えるマティニヨン協定を締結し、2週間の年次有給休暇を付与する法律も含まれていました。現在5週間に増え、3週間はまとめて取ることが定められています▼自然の中で健やかな心身を回復し、家族との絆を深め、日常の労働に戻っていく―。フランスのバカンスの歴史は、人間らしい生活を実現するには、労働者が力を合わせて「ルールある経済社会」を勝ち取ることが必要だと教えてくれます。





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