2011年7月6日(水)「しんぶん赤旗」
リビア 紛争拡大の様相
空爆強化・反政府勢力に武器供与
カダフィ政権 “義勇軍”登録開始
ロシア・AU・NATO 和平案協議
【カイロ=伴安弘、ロンドン=小玉純一】5カ月近くにわたるリビアのカダフィ政権と反政府勢力との紛争は収拾の見通しがなく、拡大の様相をみせています。反政府勢力がフランスから武器供与を受ける一方、カダフィ政権は“義勇軍”の登録を開始。4日には北大西洋条約機構(NATO)・ロシア理事会が黒海沿岸のソチで開かれ、アフリカ連合(AU)も交えてリビア情勢について協議しました。
NATO軍が4日、公表したデータによると、過去24時間の出撃は71回で、前週の1日当たり平均出撃回数の2倍。空爆は強化されています。
反政府勢力はフランスからの武器供与も受けて、首都トリポリの南約50キロにあり、同市を砲撃の射程内におさめる要衝ビルアルグナムの占領をめざし攻撃準備を進めています。
一方、リビアの最高指導者カダフィ大佐は2日、反政府勢力に占領されている陣地を奪還するための動員令を出し、これに基づいて、女性を含む“義勇軍”登録が始まりました。
NATO・ロシア理事会では、ロシアのラブロフ外相がNATOのリビア空爆について、国連安保理決議1973を逸脱していると批判。「われわれは、この決議を、拡大解釈ではなく、文面通り全面履行することを望む」と述べました。
これに対し、NATOのラスムセン事務総長は、空爆は決議に「厳格に一致」したものだと反論しました。
またロシアとNATOにAU代表のズマ南アフリカ共和国大統領も加わった協議では、ズマ氏がAUの和平提案を説明しました。
ラブロフ氏は「軍事衝突から政治対話へ即時移行させるあらゆる取り組みを支持する」と表明。ラスムセン氏は「停戦は信頼性があり、検証可能でなくてはならない」「人々の正当な願望を受け入れた解決でなくてはならない」と述べ、両氏ともAU提案について検討を約束しました。
AUは先に、カダフィ大佐の進退をひとまず脇に置き、紛争当事者が交渉するよう呼びかけましたが、反政府側はカダフィ氏らの退陣がなければ交渉には応じられないと拒否しています。
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