2011年7月6日(水)「しんぶん赤旗」

原爆症 12人を認定

胸部大動脈瘤では初めて

東京地裁 集団訴訟第3次判決


 「病気を原爆放射線のせいだと認めて」と、広島、長崎で被爆した東京在住の被爆者が、原爆症認定申請を却下した国を相手に起こした原爆症認定集団訴訟(第3次24人)の判決が5日、東京地裁(八木一洋裁判長)でありました。提訴後に改定された新基準で未認定だった16人のうち12人の却下処分を取り消して原爆症と認めました。


 4人については、被ばくの程度や喫煙歴などを理由に請求を棄却しました。第3次訴訟24人のうち8人は新基準で認定されています。

 東京都内で開かれた報告集会には約160人が集まり、勝訴を喜び合いました。

 勝訴した畑谷由江さん(73)は「あたたかいご支援を本当にありがとうございました。原爆の痛みはこれで終わったわけではありません。もっと訴えていきたい」と語りました。

 同じく認められた神戸美和子さん(73)は「(爆心地から)4キロメートルでしたが勝訴できました。頑張ってきてよかった」と笑顔をみせました。

 今回原爆症と認められたのは、爆心地から1・5〜4キロメートルで直爆を受けたか、原爆投下後2〜4日後に入市した人。新基準で積極的認定とされている、がん、心筋梗塞、肝機能障害のほか、脳梗塞や狭心症、甲状腺機能亢進(こうしん)症も認めました。また、一連の集団訴訟で初めて、胸部大動脈瘤(りゅう)についても原爆放射線によるものだと認めました。

 判決は、被爆者援護法が「実質的には国家補償的配慮をも制度の根底にすえて」いるとのべ、被爆者の高齢化にも着目。そのうえで、原爆放射線の人体への影響などを十分に把握することには限界があることを考慮すると、「原爆放射線の影響が及んでいると疑われ、それに沿う相応の研究の成果が存在している疾病については、他の証拠との関係を十分慎重に検討」して原爆症かどうかを判断すべきだとしました。





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