2011年7月5日(火)「しんぶん赤旗」

独が徴兵制を中止

志願制へ 軍事費削減の一環


 ドイツ政府は7月から、これまで55年間実施してきた徴兵制を中止し、志願制に切り替えました。財政赤字削減のための大幅な軍事費削減の一環として実施するもので、兵力も段階的に22万人から18万5000人に縮小します。

 ドイツの海外向け公共放送ドイチェ・ウェレによると、デメジエール国防相は4日、ベルリンで、志願兵として7月に着任した約3400人の兵士に歓迎のあいさつを述べ、志願制の開始を宣言します。

 徴兵制は旧西独時代の1956年に導入されました。しかし米国と旧ソ連の冷戦が終結。部隊の編成も陸からの侵攻に備えた陸軍中心から、現在は平和維持軍(PKO)を目的とする海外派兵部隊中心へと変わりました。また、徴兵制の兵役期間は年々短縮され、昨年7月以降は6カ月となり、「ほとんどが訓練期間で効率が悪い」などの意見が出ていました。

 グッテンベルク前国防相が「緊縮に聖域はない」として昨年6月に徴兵制廃止を提起。国防省は2014年までに83億ユーロ(約9753億円)の軍事費を削減する計画も作成しました。

 徴兵制廃止は、基本法(憲法)の徴兵制規定を変える必要があるため政府は「中止」としています。議会の多数の決定で再開もできますが、事実上の廃止と受け取られています。

 志願兵の兵役期間は23カ月で、職業軍人とともにドイツ軍を構成します。

 徴兵制中止で、青年が学業を一時中断して兵役に就くことはなくなります。一方で、徴兵制を拒否する青年が代わりに社会奉仕などに従事する制度(社会サービス制度)もなくなるため、マスメディアは問題も出てくると報じています。同制度で働く青年が高齢者などの介護を支えているという現実があるためで、政府は新たに、志願制の社会サービスの人員を募集しました。





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