2011年6月24日(金)「しんぶん赤旗」

共産党の「原発撤退」提言

独で体験 国民的大論争

一致点広げる呼びかけに共感

愛知の大学教員がメール


 日本共産党が13日に発表した提言「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格導入を―国民的討論と合意をよびかけます」に反響が広がっています。党本部にも電子メールやファクス、電話で各界から、さまざまな賛同の声が寄せられています。愛知県で大学教員をしている男性からのメール(要旨)を紹介します。


 たいへんすばらしく感動をもって読みました。

 第一に、国民的討論と合意を呼びかけるという基本的なスタンスがよいと思います。私は1979年から93年までドイツに滞在していましたが、チェルノブイリ原発事故以降のドイツでの原発論争はものすごい規模での国民的大論争でした。普通の新聞にも週1回は、賛成・反対など多様な意見を述べた論文が掲載されます。わが国の場合、多くの国民が真剣に考え始めている段階ですので、方向を示しながらも、討論と合意をめざすというスタンスはまさに正しいと思います。

 第二に、今、国民のだれもが考えているのは安全の問題で、そこが入り口になっています。一致点を重視する姿勢はよいと思います。原発から撤退し、自然エネルギーの導入を進めることについても、それが可能であることを大変丁寧に説明しています。この説明も説得的であり、好感が持てます。

「異質の危険」

 第三に、原発事故を「異質の危険」であり、「空間的、時間的、社会的に限定することができない深刻さを持つ」ものとの性格付けは、ことの本質を的確に表現しています。

 第四に、地震・津波の予見に失敗したという「自然認識上の限界」と、「技術の安全性をどのように確保するか」という二つの関係も的確に指摘していることです。提言では「地震にたいする科学的知見の到達点は、それぞれの原発の地震による危険性を科学的に評価するところまで進んでいるとはいえないのです」としていますが、これは科学と技術の根本的違いを正確に理解した上での優れた指摘だと思います。私は理学(生命科学)を大学で教える教員ですが、この二つの問題の関係を的確に表現する言葉を探しておりました。私にとって、この指摘はおおいに参考になるものです。

「安全神話」

 第五に、「安全神話」に言及した部分では、「とりわけ、スリーマイル原発事故、チェルノブイリ原発事故という二つの過酷事故(炉心溶融にいたる重大事故)の教訓を、日本政府がまったく学ばなかったことは重大です」とあります。私もこれが深刻さの面でも、分かりやすいという点でも、中心問題であると思います。「わが国は違う」「ありえない」ということは、国際的な経験と、国際的協力の意義を拒絶する立場です。

 第六に、原子力工学の教育・研究についても「人類の未来を長い視野で展望し、原子力の平和的利用にむけた基礎的な研究は、継続、発展させるべき」と適切な指摘をしています。あえて付け加えるなら、原発停止後の廃炉に向けての技術的諸問題、使用済み核燃料の処理技術についての諸問題を解決するためにも、原子力工学の教育研究は絶対に必要であると思います。

 この提言は、貴党のこれまでの長年の活動の蓄積にもとづき、国民の間に一致点を広げていくという方法で、一定の時間をかけて国民的議論と合意をはかるという基本的な方向を提示しています。敬意を表します。





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