2011年6月23日(木)「しんぶん赤旗」

米ウォルマート差別裁判で連邦最高裁

“集団訴訟”認めぬ判断


 【ワシントン=西村央】米連邦最高裁は20日、世界最大の小売企業ウォルマートの女性従業員が差別待遇の是正を求めて同社を相手取って起こしていた損害賠償訴訟を集団訴訟として扱うことを認めないとの判断を示しました。これに対し、米メディアや労働界などから、大企業相手の差別撤回を求める訴訟を封じ込めることにつながるとの批判が出ています。


労組“訴え封じ”批判

 判決は、全米の3400に及ぶ店舗で異なった職種についている従業員が、単一の集団訴訟で原告となり得るほど共通性を持っていないと判断。ウォルマート側の主張を受け入れた形となりました。

 この判決について、21日付ニューヨーク・タイムズ紙の社説は、集団訴訟を構成する側に強い共通性を求めたもので「集団訴訟をより困難にするもの」と指摘。「集団訴訟なしでは、差別されている女性が裁判の場で訴えることが非常に難しくなる」との見解を示しました。

 米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のトラムカ議長は、最高裁の判断に対して、「救済を求める労働者に裁判所の門を閉ざすもの」と批判。米女性法律センター(NWLC)のグリーンバーガー共同代表は「集団訴訟という正当な手段への侵害となる」と指摘しています。

 ウォルマート社に対する損害賠償訴訟は、2001年に7人の女性従業員が、男性に比べて賃金が半分以下で、昇格も差別されているとして起こしたもの。原告資格を持つのは、1998年以降に同社に勤務したことがある160万人とされます。

 2010年4月、サンフランシスコ連邦巡回高等裁判所が、集団訴訟として認めるとの判断を出し、会社側がこれを不服として、最高裁に抗告していました。





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