2011年6月18日(土)「しんぶん赤旗」

貧困削減、天然資源擁護へ

南米諸国連合(UNASUR) 暫定本部を開設

エクアドル首都に


 【メキシコ市=菅原啓】南米12カ国が加盟する南米諸国連合(UNASUR)は16日、事務局長と各国代表が常駐する暫定本部をエクアドルの首都キト市内に開設しました。これによって、米国など域外の大国に依存しない自主的な地域連合の体制づくりがさらに本格化します。


 UNASURは設立条約の批准が12カ国中9カ国に達し、今年3月、法人資格をもった正式の国際機構となりました。

 開設式であいさつに立ったメヒア事務総長(元コロンビア外相)は、南米各国はそれぞれ力強く発展しているが、共同することで「一つの大国となることもできる」と力説。貧困削減や雇用創出、天然資源の保護などさまざまな課題の解決のために、「団結した、主権をもつ力強い」南米をつくろうと呼びかけました。

 この間、昨年10月に死去したキルチネル初代事務局長の後任人事をめぐり、ベネズエラとコロンビアが対立。しかし加盟国の意見調整の末、最終的に両国が任期2年を1年ずつで交代することで合意しました。

 メヒア氏はこうした経過を振り返り、南米各国の指導者には意見の違いを乗り越える「深い成熟さがある」と指摘。UNASURが他の地域機構と違うのは、こうした問題解決のための「身軽さと柔軟性」を備えていることだと強調しました。

 エクアドルのパティニョ外相は、同国で昨年発生したクーデター未遂事件やボリビアの反政府勢力による暴動の解決のため、UNASURが正式発足前から大きな役割を果たしてきたことを改めて想起。UNASURの一層の発展につながる暫定本部の開設を「歴史的な出来事」と評価しました。


 南米諸国連合(UNASUR) 南米12カ国による地域協力機構。政治的対話の強化、南米統合の促進、貧困の撲滅などが目的。加盟国はアルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、スリナム、コロンビア、チリ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア。





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