2011年6月14日(火)「しんぶん赤旗」

V字形新基地

オスプレイ配備と一体

ひた隠し、配備の段階で通知


 結局、V字。やはり、オスプレイ―。北沢俊美防衛相が仲井真弘多知事に伝えた普天間基地「移設」に関する最終方針の印象です。

 昨年5月28日の日米合意で鳩山前政権は普天間基地の「県外・国外移設」の公約を破り捨て、沖縄県名護市辺野古への新基地建設を表明しました。

 具体的な工法については騒音や環境への影響を「考慮」するとして、8月31日の日米専門家会合の報告で「V字」「I字」の2案を提示。両案を比較検討して次回の日米安保協議委員会(2プラス2)で決定することになっていました。

 そして結論は、V字でした。なぜ、自公前政権時と寸分たがわぬ「辺野古にV字形の新基地」という結論になったのか、騒音や環境への影響をどう考慮したのか、自公前政権が合意した2006年5月以降、沖縄県の全自治体が普天間基地の「県内移設」反対に転じたことをなぜ、一顧だにしないのか―。防衛相の口から、何の説明もありませんでした。

 これでは、昨年5月に鳩山前首相が「県外移設」を断念した時点から、「V字」が既定路線だったと考えざるを得ません。

 さらに罪深いのは、墜落事故を繰り返している海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備です。これまで海兵隊が沖縄への配備時期についてくり返し「12年10月から」と表明してきましたが、政府は国会で何度追及されても、「米国から正式な通知がない」と否定してきました。

 しかし、1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意の当時から米側はオスプレイ配備の方針を提示しており、日本側と緊密に協議していたことが明らかになっています。

 以来、新基地の形状は一貫して、オスプレイの運用を前提にしてきました。辺野古の新基地とオスプレイの配備は一体のものです。

 それにもかかわらず県民世論を恐れてひた隠しを続け、いよいよ配備という段階になって通知する―このことだけをとっても、道理のなさは明らかです。

 V字案の表明とオスプレイ配備の通知から、民主党政権も米国いいなりという点で自公前政権とまったく変わらないことが明白になりました。

 しかし、その米国でも米議会から「辺野古は実現不可能」との声が公然と出ています。21日の「2プラス2」合意自体の実効性が疑問視されるなか、米国内の変化すら読み取れない日本政府の鈍感さが際立っています。





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