2011年6月12日(日)「しんぶん赤旗」

ペルー次期大統領 就任準備着々

地域「重視」南米を歴訪、対貧困「100日計画」作成


 【メキシコ市=菅原啓】南米ペルーのウマラ次期大統領は、7月28日の就任に向け、外交・内政の両面で準備を本格化させています。


 外交面では、9日からブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン、チリ各国をめぐる歴訪を開始しました。これは、南米12カ国で構成される南米諸国連合(UNASUR)の強化など、地域統合を重視するとした公約実践の一環です。

 ウマラ氏は9日、ブラジルの首都ブラジリアで同国のルセフ大統領と会談し、「社会的排除のない経済成長とマクロ経済の慎重な運営」というブラジル政府の行動を高く評価。「ペルーの現実は異なる」としながらも、経済政策に関してブラジルの成果を参考とする考えを明らかにしました。

 10日にはパラグアイを訪問し、ルゴ大統領と会談。両国関係の強化とともに、同国が議長国を務めるメルコスル(南米南部共同市場)との関係発展を話し合いました。

 内政面では、マリソル・エスピノサ次期第1副大統領を責任者とする政権移行委員会を設置し、新政権が最優先で取り組む「政権100日計画」を作成していると報じられています。

 委員会メンバーの経済専門家ダビド・シドロウスキ氏は7日、100日計画の作成の上では、(1)貧困対策などの社会開発分野の施策(2)鉱山企業の過剰利益への新課税など税制改革―の二つの柱を優先すると表明しました。

 社会開発分野の施策には、最低賃金の引き上げ、65歳以上の全国民に年金を支給する制度などが含まれる予定です。

 シドロウスキ氏は、こうした施策の財源を保障する上でも、税制改革が必要だと強調。鉱山企業への新課税については、「企業を破壊する考えではなく、合理的な税徴収を行うものだ」と説明しました。

 全国統計情報庁(INEI)によると、ペルーの貧困層の割合は全国平均で約30%ですが、農村地域の平均は54・2%に達します。

 首都リマで発行されるプリメラ紙8日付は、こうした統計を示しながら、新政権が最優先すべき課題は貧困対策だと指摘。同時に、地方経済の発展と結びつけた施策の重要性を強調しています。





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