2011年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

中国国防相 “仮想敵”持つ同盟否定

南シナ海問題 「行動宣言守る」


 【シンガポール=面川誠】中国の梁光烈国防相は5日、当地で開かれたアジア安全保障会議で講演し、「第三国に対抗する同盟を結ぶべきではない」と呼び掛けました。中国は「平和的発展」を目指す国であり、南シナ海問題では「行動宣言」を守り平和的解決を目指すと強調しました。

 梁氏は「安全保障は排他的であってはならない」として、「中国軍が国際的な安保協力にかかわる理由は現在の国際秩序を弱めようという意図ではなく、すべての国が利益を共有できる公共財を国際社会に提供するためだ」と強調しました。

 講演後の質疑で梁氏は、「中国の主張する“核心的利益”とは何か」との質問に対して、「主権、政治的安定、政治制度にかかわる問題」が該当するとして、「社会主義を拒否する試み、中国の一部を切り離そうとする動き、陸海空域にかかわる問題」は“核心的利益”を侵害すると述べました。

 米中関係については、「よい進展がある」と評価した上で、米国を名指しせずに、「国家関係で社会制度の違いに焦点を当てたり、戦略的意図を歪曲(わいきょく)したりすると、敵をつくることになる」と警戒感も示しました。

 梁氏は「南シナ海問題の全般的な状況は安定している」として、東南アジア諸国連合(ASEAN)との行動宣言(DOC)に基づいて領有権問題の平和的解決を目指すとの原則を改めて強調。その一方で、「直接に関係のある当事国で解決すべきだ」と述べ、この問題で昨年から発言を強めている米国の関与を拒否する姿勢を表明しました。


 アジア安全保障会議 英国際戦略研究所(IISS)が主催して、アジアで初の多国間国防相会議として2002年に始まりました。以後毎年5〜6月にシンガポールで開かれています。アジア・太平洋地域と米欧各国の安全保障担当閣僚や専門家などが出席。今回、中国の国防相が初参加しました。





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