2011年6月5日(日)「しんぶん赤旗」
九条の会 発足7周年 記念講演会
平和 未来世代への決意
発足7周年を迎えた「九条の会」は4日、東京都千代田区の日比谷公会堂で記念の講演会、「未来世代にのこすもの 私たちは何を『決意』したか」を開きました。東日本大震災、福島第1原発事故で国のあり方が根本から問われる中、「九条の会」発足の原点を問い直す、よびかけ人4氏の話に、被災地からの参加者を含む会場いっぱいの2000人が真剣に耳を傾けました。
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作家の大江健三郎氏は、日本で原子力基本法が成立した1955年の前年に、米国の水爆実験で第五福竜丸が被ばくし、原水爆禁止運動の高揚があったと指摘。平和憲法のもとで原発をつくらせないという方向もあったことに注意を促しつつ、福島原発事故で人々が死の恐怖に脅かされている中で、あらゆる意味で平和を求めていくことが必要だと強調しました。そして、「これに反対(逆行)する動きにはっきりノーといい、平和な生活をする『決意』を確かめたい」と述べました。
作家の澤地久枝氏は、「3月11日の揺れのなかで初めに考えたのは、すべての原発を止める意思表示をすることだった」とあいさつ。福島原発の事故で、核の暴走をとめる技術がないことが明らかになったとし、「人々が可能性をすべて発揮できる国をつくるため、世直しが必要。そのよりどころが9条をはじめとした憲法」と強調しました。
哲学者の鶴見俊輔氏は、広島と長崎に原爆を投下した米国の行為は科学を悪用しないというギリシャ以来の伝統を断ち切るものだったと指摘。「9条はなんらかの行動と態度表明によって裏付ける方がいい」と結びました。
憲法学者の奥平康弘氏は、「9条の戦力不保持規定のあいまいな解釈で自衛隊や核兵器の保持さえ容認されてきたが、原発事故の中で、核兵器の禁止を明確にしなおすべきときにきている」と述べました。
杉並区在住の男子学生(21)は、「国会は権力争いばかりだけど、市民一人ひとりが強い意思を持って行動することが大切だと、同世代でも話ができるようになるといい」と語りました。
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