2011年5月31日(火)「しんぶん赤旗」

大統領選 決選投票迫る

ペルー 左右両派 接戦

“新自由主義 ”転換か継続か


 【メキシコ市=菅原啓】南米ペルーの大統領選決選投票は、投票日(6月5日)まで1週間となりました。現行の経済政策の転換か継続かをめぐり、左右両派の候補者が接戦を演じています。

 左派のオジャンタ・ウマラ候補は高い経済成長を記録しながら、その恩恵が国民全体に届いていないことを批判し、新自由主義的な経済政策の転換を主張しています。右派のケイコ・フジモリ候補は、貧富の格差是正を強調しつつも経済政策の継続を約束。29日に発表された民間会社の世論調査によると、両候補の支持率はほぼ同率となっています。

 ウマラ候補は、経済政策の抜本的転換を望む左派勢力だけでなく、中道勢力の支持を取り込むため、主張の一部をより穏健な表現に修正。ベネズエラのチャベス大統領と親交があることから、ベネズエラ型の政治を実現しようとしているという攻撃に対しては、「ベネズエラ・モデルはペルーに適用できない」と反論してきました。

 この結果、第1回投票(4月10日)で敗退したトレド元大統領からの支持をとりつけるなど、支持層の拡大に一定の成功を収めてきました。

 一方、フジモリ候補は、在任中の人権侵害などで禁錮25年の刑を言い渡されたアルベルト・フジモリ元大統領の娘であることから、独裁型政治の復活を懸念する人々から強く拒否されてきました。しかし、第1回投票後は父親との違いを強調する作戦を展開。新自由主義的政策の恩恵を受けてきた富裕層や大企業、多くのメディアから強力な支援を受けて、支持を広げてきました。

 世論調査によると、投票態度が未定、あるいは態度を明らかにしない有権者は2割残されています。

 リマ大学の政治学者ルイス・ベバネンテ氏は、世論調査で態度を明らかにしない「隠れた支持票」が多いのは、メディアから集中批判を浴びているウマラ候補の方だとの見方を示しています。





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