2011年5月27日(金)「しんぶん赤旗」

主張

農業委員選挙

再生の担い手を増やす機会に


 3年に1度改選される農業委員のいっせい選挙が、7月10日投票(沖縄県は9月)でおこなわれます。東日本大震災と福島第1原発事故の被災地で選挙が延期される市町村もありますが、全国1732農業委員会の約60%で実施されます。

 農業委員会は、委員の大半が農民の選挙で選ばれる「農家の代表機関」です。農地にかんする行政権限をもち、国や自治体の農政に意見を反映させることが主な仕事です。

復旧とTPPが大争点

 国難ともいえる東日本大震災と原発事故は、広範な地域で農業生産と農家・農村の経済に大打撃を与え、復旧・復興は最大の国民的課題になっています。

 ところが、大震災を農業の大規模化や営利企業の進出の全面自由化、日本農業に壊滅的打撃を与える「環太平洋連携協定」(TPP)参加の契機にすべきだなどの主張が、財界中心に繰り広げられています。菅直人内閣は「6月中」としていたTPP参加の結論を、震災の復旧・復興にまず全力をつくすとして先送りにしましたが、「包括的経済連携に関する基本方針は、復旧・復興の進行状況を踏まえて、検討する」と参加を推進する姿勢自体は変えていません。

 大震災からの復興を地域と農業者の意思と要求にもとづいてすすめること、TPP参加の動きを阻止し、自立的な再生に道を開くことが、農政の最大争点です。いっせい農業委員選挙でもそれが大きく問われます。

 農業委員会には、農産物の価格低落や耕作放棄農地の増大、後継者難など、地域農業の抱えるさまざまな問題を、農家、行政機関と協力して解決していくことも求められています。

 一昨年の政権交代にともない、政府の「食料・農業・農村基本計画」の「一部の農業者に重点化し、集中的に実施する」手法が、「意欲ある多様な農業者の育成・確保」と転換されました。幅広い農家を農政の対象にする条件に、なりうるものです。一方で営利企業の農地利用(賃貸借)が解禁されました。農業・農地行政での農業委員会の役割も変化し、いっそう大きくなっています。

 財界や大手マスメディアなどは、農地の利用規制や、農地所有者と地域農業者の農地利用を優先する農業委員会のあり方を敵視し、農業委員会そのものの廃止や公選制廃止をもちだしています。

 それだけに、農業委員会には農民の代表機関として、農地の保全や有効利用に力を発揮し、地域農業の再生、復旧に積極的役割を果たすことが求められます。財界などの農業攻撃に毅然(きぜん)と立ち向かい、農家と地域のためにがんばる委員の存在が決定的です。いっせい選挙はそうした農業委員を増やす機会です。

共同広げがんばる委員を

 日本共産党は、農業委員会の役割と活動を重視し、政策も明らかにして選挙に取り組んできました。被災者の支援でも、TPP反対の運動でも、日本共産党への共感が農家の中にひろがっています。

 農業委員選挙で、日本共産党の公認・推薦の委員をはじめ、農業政策・要求で一致する人々と幅広く協力し、地域農業の発展と農家に役立つ農業委員を増やすために力をつくすことが重要です。





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