2011年5月25日(水)「しんぶん赤旗」

福島第1原発

2・3号も炉心溶融

東電公表 圧力容器が損傷


 東京電力は24日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の地震発生前後の原子炉の状態について解析結果を公表しました。1号機だけでなく2、3号機でも、原子炉の緊急停止から数日後に、核燃料の大半が溶融・落下する「メルトダウン」を起こしていた可能性があることを明らかにしました。


 23日夜、結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出しました。

 解析は、原子炉の温度や圧力などのデータ、運転日誌などを踏まえて、3月11日の地震発生前後の状況を推定したもの。1号機の水位計が正常な値を示していなかったことを考慮して2、3号機も同様と仮定しました。

 その結果、2号機は緊急停止後約101時間後の15日午後8時ごろ、3号機は同約60時間後の14日午前3時ごろに、大部分の核燃料が溶融し原子炉圧力容器の底部に落下。その後、2号機は16日午前4時ごろ、3号機は14日午前9時ごろ、溶融した核燃料によって圧力容器が高温になり損傷しました。(表)

 また、水位計が正常な値を示していると仮定した解析も行い、その場合は、2、3号機とも、溶融・落下するのは核燃料の一部のみという結果でした。

 1号機については15日の発表で、ほぼ全量の核燃料が緊急停止の約16時間後の12日午前6時50分ごろに溶融・落下していたと暫定解析していましたが、今回の解析で1時間早い15時間後としました。

 「原子炉隔離時冷却系」や「高圧注水系」などの緊急炉心冷却装置の動作状況もまとめました。2号機が14日正午ごろまで、3号機は一時中断した後に13日午前2時42分まで機能したといいます。

 1号機では「原子炉隔離時冷却系」にかわる「非常用復水器」が地震後いったん自動起動したものの、津波到達前に手動停止したことを、運転員への聞き取り調査で確認しました。停止後に再び機能したかどうかは判断できない状況です。「高圧注水系」も11日午後8時前後に動作不能になり、2、3号機と比べて炉心溶融が早く進んだとみられます。

 一方、中央制御室のホワイトボードなど運転員のメモの分析は今後進めるといいます。高い放射線量を示す数値のそばに書かれた1号機原子炉建屋への「入域禁止」の記述について、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は予断はもたないとしつつ、建屋内で高い線量が測定されたことと「整合性がとれている」と述べました。

 今回の事故解析結果について、細野豪志首相補佐官は会見で「厳しい結果が出た。見込みの甘さを反省している」と述べました。

表




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