2011年5月17日(火)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 うちに餌だけ食べに来ていたネコが亡くなりました。飼い主が引っ越した後も、ネコは引っ越さず。それから餌をやるのが日課になっていました。情が移ったのか、ペットでもないのに胸にぽっかり穴があいたようです。これが家族同様の家畜ならなおさらでしょう▼15日から「飯舘牛」で知られる福島県飯舘村の計画的避難が始まりました。手塩にかけて育てた牛を処分せざるをえなくなった酪農家たち。胸の内を昨日付本紙が伝えます。「おまえたちは何にも悪くないのに…」。抑えた表現に言いようのない悔しさがにじみます▼朝のワイドショーでも、村人の暮らしが映し出されていました。原発による補助金など、経済的恩恵とは無縁の飯舘村。20年以上かけて、「飯舘牛」というブランドを確立します。「平成の大合併」でも、どことも合併せず、自立の道を選びました▼印象的だったのが、飯舘村の方言「までい」。手間暇惜しまず、という意味だそうです。その言葉通り、村人が丹精を込めてつくりあげた理想の村が、原発でずたずたにされました▼備えあれば憂いなし。でも原発に「備え」は許されませんでした。なぜか。原発は安全だから事故が起こるわけがない。避難訓練も必要ない。いささかも、「安全神話」に疑問をさしはさんではならないのです▼なぜこうなったのか。徹底した検証が必要でしょう。35年前から原子力行政の問題点を追及してきた日本共産党の国会質問(『前衛』6月号)は大いに参考になります。





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