2011年5月12日(木)「しんぶん赤旗」

四川の社会基盤復興達成

大地震から3年 経済・生活、再建に課題も


 死者6万9000人、行方不明1万8000人を出した中国の四川大地震から12日で3年になります。がれきに埋まった四川省、陝西省、甘粛省の被災地一帯は、いますっかり生まれ変わり、中国は「復興達成」でわいています。 (北京=小寺松雄)


 日本の面積の3分の1を超える13万平方キロの復興作業がほぼ終わりました。中国政府は「3年で復興」の目標を掲げ、3省で約4000の学校をはじめ、230万戸の住宅建設をやりとげました。

 3周年を前に四川省を視察した温家宝首相は9日、「決定的な勝利」だと復興成功を確認。「その大きな成果は、社会主義制度の優越性を十分に示している」とも述べました。

 復興の特徴の一つは「地方政府間の援助」です。四川省の場合、1兆元(約12兆円)近くになるという復興経費のうち、中央政府の支出は4分の1程度。あとは北京、山東省など他の有力自治体の支援でした。「一方有難、八方支援(一つの困難な地域があれば八方から支援する)」―温首相はこの言葉で、助け合う意義を表明しました。

 もう一つの特徴は、学校、病院など公共施設の「早期・堅固な再建」の重視です。

 震災直後、児童生徒の被災率が高かったことから、「校舎建設に手抜きがあったのでは」と批判が高まりました。研究者を中心とした調査団は「教室など広い空間なのに、柱や壁が不足していた」と結論付けました。

 温首相も「くみ取るべき経験」の第一に、「住宅、学校、病院の再建を最優先」と述べ、「最も強固な建物として建設した」と強調しました。国家発展改革委員会の穆(ぼく)虹副主任は10日の記者会見で「3月までの検査では、強度や材質は法と規準を満たしている」と述べました。

 さらに首相は「復興再建では被災地の住民が中心的役割を果たすようにした」と指摘。“地方が主役、中央政府は後押し”という理念が発揮されたと強調。

 復興にあたっては、北川県の一部を被災直後のままにして、記念公園として整備し「教育・観光」の側面から活用していこうとする試みもあります。

 しかし、復興への資金投入がなくなってしまうと、やはり「就業」問題がのしかかってきます。被災した企業が他の自治体へ移転したため、失業した労働者も少なくありません。「観光」も規模に限界があります。

 社会基盤は復興したものの、「経済と生活の真の再建」への挑戦はまだまだ続きます。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp