2011年5月12日(木)「しんぶん赤旗」

2022年までに共通政策綱領作成へ

ASEAN首脳会議で合意

世界での役割 明確化めざす


 東南アジア諸国連合(ASEAN)は7、8の両日に議長国インドネシアの首都ジャカルタで第18回首脳会議を開き、2022年までに共通政策綱領を作成することに合意しました。15年の共同体創設後に世界で果たすべきASEANの役割を明確にしようという目的です。 (ジャカルタ=面川誠)


次に何をするか

 インドネシアは、共同体創設後を見越したビジョンを共有できなければ、ASEANは名ばかりの共同体になりかねない、という焦燥感をあらわにしていました。

 首脳会議の前日、マルティ外相は「東アジア首脳会議(EAS)に米国とロシアを参加させた。枠組みは決まった。次の課題は『次に何をするのか』だ」と語りました。

 「ビジョンがなければ、誰がASEANの中心的役割を認め、(地域協力の)運転席に座らせるだろうか。役割を果たさなければ、われわれは停滞する」

 首脳会議で採択された共同声明は、「われわれは主要な世界的課題を見極め、ASEANの調整・協力機能を向上させなければならない」「長期的なさまざまな潮流を見定め、そうした潮流に合わせた適切な対応と戦略を発展させなければならない」としています。

 今秋予定の第19回首脳会議でこうしたビジョンを具体化する宣言の採択をめざし、外相協議で草案を準備することになりました。

抱える難題二つ

 共同体創設を前に、ASEANは難題を抱えています。タイとカンボジアの国境紛争に加え、形ばかりの民政移管を終えたミャンマーが2014年の議長国に立候補したことです。

 タイのアピシット首相は7日の首脳会議で、「私はこの問題(国境紛争)がASEANの信頼性に悪影響を与えていることを認識している」と表明。カンボジアのフン・セン首相も「恒久的な停戦が実現しなければ、ASEANの威信と信頼性が深刻に傷つくだろう」と認めました。

 ミャンマーについては、ASEAN高官が「2014年は共同体創設の前年で、決定的に重要な年だ」と指摘。「最大の野党勢力を排除し、2000人の政治囚を抱える国で、東アジア首脳会議を開けるだろうか」と懸念しています。

 フィリピンのアキノ大統領は首脳会議で、「地域の平和と安定を考えて行動してほしい。国際社会の信頼はどうなるのか」といら立ちを隠しませんでした。

 インドネシア大学のザイヌディン教授はジャカルタ・ポスト紙に、「ASEANは素晴らしい基礎を持っている。だが、憲章や宣言はまだ一般論的で、実現はこれからだ」と語りました。





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