2011年5月11日(水)「しんぶん赤旗」

高尾山で湧水枯れ

自然保護団体「圏央道トンネル原因」


 国土交通省が圏央道トンネル工事を進めている高尾山(東京都八王子市)で、中腹の沢と湧水が枯れていたことが、自然保護団体の調査で分かりました。団体の代表が10日、記者会見し明らかにしました。自然保護団体は「ミシュランのガイドブックで『三つ星』に選ばれた高尾山の自然を破壊するトンネル工事は中止すべきだ」と批判しています。

 水枯れしたのは高尾山の散策路6号路沿いにある稲荷祠(ほこら)の湧水と、付近の妙音谷の沢。「高尾山の自然をまもる市民の会」「国史跡八王子城とオオタカを守る会」などが確認しました。

 圏央道トンネル本坑が湧水付近を掘り進んだ昨年5月から8月にかけ、湧水の約100メートル上流にある国交省の観測井戸で地下水位が20メートル低下。今年2月末時点で水位が2〜5メートル程度しか回復せず、トンネル内での湧水量は増加しています。

 圏央道トンネル工事では、高尾山付近の下恩方地区や国史跡八王子城跡、城山八王子トンネル周辺で沢や川、井戸の水枯れが相次いでいます。

 今回水枯れした湧水の上流には高尾山薬王院の水行道場として知られる琵琶(びわ)滝があり、自然保護団体は「トンネル建設が高尾山の豊かな水脈を破壊すると指摘してきた通りの事態だ」と批判しています。

 高尾山の自然をまもる市民の会の橋本良仁(よしひろ)事務局長の話 圏央道トンネル沿線の水枯れは、私たちが以前から指摘してきました。国交省は技術検討委員会の提言を盾に、トンネル工事が原因とはがんとして認めず、原発を「安全」だと推進した姿勢と同じです。

 民主党政権は「コンクリートから人へ」を公約しながら、今年度予算でも高尾山トンネルに73億円、圏央道全体で総額1000億円の予算を計上しました。工事は直ちに中断して水枯れの原因を徹底的に明らかにし、無駄な道路建設予算を組み替えて、東日本大震災の被災者救援と復興に回すべきです。





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