2011年5月2日(月)「しんぶん赤旗」

福島第1原発事故

「風評被害」全面賠償が当然

紙議員「現場は、待てない」


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(写真)菅直人首相らに質問する紙智子議員(右下、後ろ向き)=1日、参院予算委

 「もう待てないというのが現場の声だ。首相は決断すべきだ」

 1日の参院予算委員会で福島第1原発事故収束の道筋を示すよう求め、「風評被害」に対する全面的な賠償を迫った日本共産党の紙智子議員。住民の切実な声を示した質問に菅直人首相は前向きな答弁をせざるをえませんでした。

清水社長ただす

 紙氏は損害賠償について、「原発事故がなかったら得ていたはずの収入と、現在の状態との差額すべてを賠償させるということだ」と指摘。政府と清水正孝・東京電力社長の認識をただしました。

 清水社長 原子力損害賠償制度のもとで、紛争審査会の指針に基づき公正に迅速に対応していく。

 首相 (事故との)相当因果関係が認められるものは、法律に基づいて適切に賠償が行われると認識している。(原子力損害賠償紛争)審査会がまず指針を出して補償の議論がなされる。

  みんなが思っている関心に全然答えていない。(事故で被害を受けたことによる)差額を補償するのかと聞いているのです。

 紙氏は、紛争審査会の示した「第1次指針」(4月28日発表)は風評被害が損害賠償の対象に入っていないことを指摘して追及します。野菜も牛乳も受け取りを拒否され、「明日からの生活が成り立たない。どうしたらいいのか」という痛切な訴えを紹介しました。

  (風評被害が)1次指針に入っていれば、早く話が進められるのに。なぜ入れなかったのか。

 高木義明文部科学相 風評被害については詳細な調査が必要なので、今後の検討課題とされた。できるだけ早く検討をすすめてもらいその結果の取りまとめをしたい。

  (被害を受けてから)いったいどれだけたっていると思っているのですか。すぐに指針に入れるべきです。精魂込めて作った野菜が出荷できない。毎日搾乳しても捨てないといけない。いろいろな支払いをしなければいけない。もう待てないというのが現場の声です。

首相に「決断を」

 福島第1原発事故から50日が過ぎ、苦難を強いられる住民の声を代弁して対応を急ぐよう求めた紙氏。鹿野道彦農水相は「何としても(第2次)指針に盛り込まれるよう審査会に強く働きかけたい」と答えました。

 紙氏が「5月の段階で入れてほしい。決断をお願いしたい」と迫ると、菅首相は「できるだけ早い、次の段階で入れるべきだと考えている」と述べました。





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