2011年4月30日(土)「しんぶん赤旗」

タイ、撤兵要求崩さず

カンボジア実効支配国境から


 【ハノイ=面川誠】22日から続くタイとカンボジアの武力衝突で、タイ政府は紛争解決の前提として、カンボジア側が実効支配する国境未画定地域から撤退するよう求める強硬な姿勢を崩していません。

 両国軍は28日に停戦に合意しましたが、同日夜から29日未明にかけて戦闘が再発。タイ軍報道官によると、同軍兵1人が死亡しました。双方とも、相手側が攻撃を開始したと非難しています。

 タイのガシット外相は28日、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国インドネシアのマルティ外相とジャカルタで会談。2月のASEAN外相会議で決まったインドネシア監視団受け入れの条件として、カンボジア軍がヒンズー寺院「プレアビヒア」から撤退することを要求しました。

 タイ政府は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)がカンボジア政府の申請でプレアビヒアを世界遺産に登録したことが紛争の一因だとして、登録取り消しも主張しています。

 プレアビヒアについては、1962年に国際司法裁判所(ICJ)がカンボジアに属するとの判決を出していますが、タイ国内では自国のものとする主張が世論の多数。6月末か7月上旬に行われる見通しの総選挙を前に、アピシット民主党政権はカンボジアに弱腰と受け取られる態度を取れない状況にあります。

 一方、カンボジア外務省は29日、1962年の判決に基づくカンボジア領有地域の範囲を明確化するようタイ側に求めたと発表しました。「国境問題を平和的かつ明確に解決するために、最も必要なのは判決解釈の明確化だ」としています。





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