2011年4月2日(土)「しんぶん赤旗」

離職者激増 岩手のハローワーク

職場が消失 賃金払えない


 東日本大震災によって、被災地では職場が消失したという人も少なくありません。全国の職場が新年度となった1日。被災地のハローワークを訪ねました。


 茶色の封筒を持ってハローワーク大船渡に来た岩手県大船渡市に住む男性(52)。封筒の中身は、失業保険の給付のために必要な離職票です。

 男性は「働いていた製材所が津波で流された。職場からは26日付けで解雇を言い渡された」と話します。

毎日300件以上

 同ハローワーク管内にある大船渡市や陸前高田市、住田町は水産加工業が盛んです。地域に根を張った産業に支えられ、リーマン・ショックなど数々の不況にも比較的強い雇用環境だといわれてきました。

 しかし震災で一変。今週に入って、毎日300件以上の離職票が持ち込まれるようになります。同ハローワークが、ふだん受け付けていた1カ月の離職票の数は200件ほど。1日で、1カ月分をはるかに超える離職票の持ち込みです。

 同ハローワークの昆忠昌所長は「地場産業の水産加工の事業所の多くが壊滅的被害を受け、事業主からも多くの相談が寄せられています。管内の失業保険の被保険者は1万6000人ほどいますが、このうちのどれくらいの人が離職票を出し、失業保険の給付を受けることになるのか、皆目、見当がつかない」と話します。

 同ハローワークでは、今も電話が復旧していません。そのため、システムが機能せず、職員が手作業で業務を行っています。全国の求人情報を紹介することができません。

 元水産加工会社勤務の女性(56)は「ここは海で食べてきた地域。それを大事にしながら、私たちの雇用につながる復興をしてほしい」といいます。

内陸部も影響

 また津波の被害を受けなかった内陸部でも震災の影響が出始めています。

 ハローワーク一関に1歳の娘と来た女性(30)=一関市在住=は旅館での仲居の仕事を解雇されました。

 「震災から予約ゼロが続いて、営業の見通しが立たないのが、解雇の理由でした。3年前の岩手宮城内陸地震の影響がやっと落ち着いたと思っていたのに…」

 同ハローワークには、事業主からこれまでに「休業中の従業員の給料はどうしたらいいのか?」といった相談が330件、寄せられています。(矢野昌弘)





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