2011年3月28日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 遠藤未希さんは今、どこにいるのでしょう。役場の無線放送で「早く逃げて」とよびかけ続けた、宮城県南三陸町の遠藤未希さん▼「高台へ避難してください。高台へ避難してください」「6メートル強の波があります。早く逃げてください」。あわてず、しかし切迫したようすの声に背中をおされ、多くの町民が高台へと急ぎました▼役場の庁舎は、10メートルを超す波に襲われました。同僚の職員が、流される彼女の姿をみた、といいます。町の危機管理課職員として持ち場を守った25歳の遠藤さんの献身は、海外にも紹介されています▼1933年の昭和三陸津波のときにも、多くの人命を救った女性たちがいました。東日本大震災の津波で九死に一生をえた津波研究家の山下文男さんが、『津波てんでんこ』で伝えています。―当夜、大槌郵便局の電話交換手、22歳の佐藤ヒメさんは通りから「津波だ」と叫ぶ声をきく。が、あちこちに問い合わせると「うそ」という▼迷った佐藤さん、“人のためだ。間違いだったら自分が罪をかぶればいい”と決心します。同僚と手分けして、釜石局と山田局に知らせ、大槌の電話加入者に片っ端から危険を告げます。連絡を受けた二つの局の交換手たちも、加入者に懸命に避難をよびかけました▼今度の津波でも、命がけで力をつくし住民を救った人は遠藤未希さんだけではありません。では、助けられた住民が避難生活で命を落とす不条理に陥らないよう、どう支えるか。そこから先、主に国の仕事にかかります。





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