2011年3月23日(水)「しんぶん赤旗」
NATO内部 混迷
介入にトルコ反対 指揮権問題浮上
【ロンドン=小玉純一】北大西洋条約機構(NATO)が対リビア軍事作戦をめぐり混迷しています。飛行禁止区域をめぐるトルコの抵抗に加え、米国が手を引いた後の指揮権問題が浮上しました。
トルコは20日のNATO大使級会合で、リビア軍事介入に反対すると表明。同国のエルドアン首相は21日、訪問中のメッカでトルコのテレビ局に対し、「われわれが最も望むのは、対リビア軍事作戦をできるだけ早く終わらせ、リビアの人々が自らの将来を決めることだ」と述べました。
21日現在、作戦は米軍の指揮で米英仏が実行中。米国のゲーツ国防長官は20日、飛行禁止区域維持にあたり「米国は突出した役割を果たさない」として近く指揮権を英仏またはNATOに渡す意向を表明しました。
当のフランスのジュペ外相は訪問中のブリュッセルで記者団に、「NATOは用意がある」とする一方、「アラブ連盟はNATO主導の作戦を望んでいない」とも発言しています。
フランス政府高官がメディアに語ったところでは、対リビア軍事作戦参加を表明したカタール、アラブ首長国連邦はNATO主導の作戦には参加しない意向です。
NATOの指揮について、英国のキャメロン首相は支持。イタリアのベルルスコーニ首相は強く求めています。
ドイツは武力行使を認めた安保理決議に棄権し、軍事作戦不参加を表明してきました。
ドイツのウェスターウェレ外相は21日、ブリュッセルで記者団に「われわれは危険性が増しているとの認識を持っている」と表明しました。
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