2011年3月21日(月)「しんぶん赤旗」

救援 一刻も早く

要望聞き取り・炊き出し・募金 共産党が全力

救援・復興へ心一つに


 「被災者救援を一刻も早く」―。東日本大震災の発生から10日目を迎えた20日、被災地では、みずから被災した議員を含め、日本共産党の地方議員が、被災住民の要望聞き取りや炊き出しなどの救援活動に全力で取り組みました。国会議員団も被災状況の調査などにあたりました。また、阪神・淡路大震災の被災地や東京電力福島原発周辺地域から避難した人たちを受け入れた地域など、全国各地の党議員・予定候補は支部・後援会と協力して救援や募金活動に取り組むとともに「福祉・防災の街づくりを」と奮闘しました。


家失った町議、奔走

宮城・女川

地図:宮城・仙台市、女川町

 東日本大震災で自身も被災しながら、避難住民の生活改善に献身的に働く人々がいます。宮城県女川町で被災した日本共産党の高野博女川町議(67)もその1人です。

 「そばで元気よく『おはよう』と言うのが、私の役割かな。親や子を亡くした人でも、それで少し元気を取り戻す人もいるから」

 津波に自宅を流された高野町議。妻と息子夫婦、小学2年生の孫の家族全員無事でした。

 世帯数3900ほどだった女川町は壊滅的な被害を受けています。津波で町役場が水没。住民の戸籍情報が喪失しました。

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(写真)避難生活する住民を、高橋ちづ子衆院議員(右から3人目)らと激励する高野博町議(中央)=19日、宮城県女川町

 高野町議は、町内の総合体育館で避難所生活を送っています。「一緒に寝泊まりして、聞き取った要望を町の対策本部や党の対策本部に伝えて『国に強く言ってくれ』といっています。そんなだいそれたものではないよ」と謙遜(けんそん)します。

 着のみ着のままで避難してきた住民たち。劣悪な避難所生活が長期化する見込みで、ライフラインの復旧や仮設住宅を求める声が強まっています。

 家を失った高野町議がいま一番欲しい物はパソコンです。

 「女川町の大変な被害がほとんど報じられていない。だから私がユーチューブ(動画投稿インターネットサイト)でも使って、実情を情報発信したい。そして、他の震災ではどれぐらいで仮設住宅ができたかとか、みんなが知りたい情報をなんでも手に入れたい。地域ニュースを作ってみんなに知らせてあげたい」

 福島原発の重大トラブルを受けて、地元の東北電力女川原発への不安が広がります。高野町議は「震災後に私に『高野さんの言ってきたこと、正しかったね』と声をかけてくる人もいます。国にモノが言えるのは共産党だけという期待を受けている気がする」。

 「全国から『生きてっか?』と電話をくれたみなさん。はげましありがとう。私は元気です」(矢野昌弘)


住民の安否確認に線路を数時間歩く

岩手・釜石市

地図:岩手・釜石市

 東日本大震災で大津波に襲われた岩手県釜石市の死者・行方不明者は1千人を超え、9800人が避難所に身を寄せています。釜石市の日本共産党は、大きな困難に直面するなかで菊池孝、坂本良子両市議を先頭に、地震発生の翌日から、被災者の安否確認、救援に奔走しています。

 市中心部は、乾いた泥が巻き上げられ、どぶのようなにおいが漂っています。商店街は店舗部分が津波でことごとく壊れ、路地に入ると、がれきが大きく積みあがったままです。

 野田団地では、地震発生時から電気、水、ガスのライフラインが完全に停止しました。菊池市議は、町内会役員とともにすぐに給水活動を開始。給水車が来るたびに、一日に何度もハンドマイクを持って町内を回り、知らせて歩きました。

 坂本市議は、国道45号が寸断されているなかで、JR山田線の線路を数時間歩いて住民の安否確認をおこなっています。20日には、岩手県内陸部で活動する党中部地区委員会から届いた米や野菜などの支援物資を、避難所に届けました。

 家族を失いながらも、情報の行き届かない地域に「しんぶん赤旗」日曜版を届けて喜ばれている党員もいます。

 釜石市にある党東部地区委員会は、津波で亡くなった人、いまだ行方不明の人もいます。深沢寿郎地区委員長は「私たち自身大きな被害を受けていますが、こういうときこそ『住民の苦難あるところ日本共産党あり』の気概を発揮して、このみぞうの災害に立ち向かいましょう」と支部と党員を励ましています。(秋山強志)


具は市民・みそは無所属市議

みそ汁400食に涙

仙台市・青葉区

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(写真)避難所を訪ね被災者に声をかける、すげの市議(右)=20日、仙台市青葉区

 仙台市青葉区の宮町地域では、被災者の支援活動を通じて地域に新たな共同の輪が広がっています。日本共産党のすげの直子市議は連日、被災者を訪ねて要望などを聞いています。

 震災からそろそろ1週間という16日、「汁物を全く口にしていない」と訴えられました。すげの市議は、自分が会長を務める小学校PTAなどの知り合いのお母さんたちに、みそ汁を避難所に届けることをメールで提案。「ニンジンならある」など、みそ汁の具が続々と集まりました。

 みそは醸造業を営む無所属市議にお願いしてみると、快く20キロを提供してくれました。おわんは地域の商店街や旅館から提供を受けました。

 翌日、朝から地域や党後援会の人たちが集まり、具だくさんのみそ汁約400食をつくり、昼時に小学校と中学校の避難所へ届けました。すげの市議は「涙を流して受け取られる方もいて、避難所のみなさんに喜んでもらいました」と話します。

 震災直後からすげの直子事務所は地域住民にトイレと水を提供。数百人が訪れました。同事務所に偶然立ち寄ったことをきっかけに、30歳の男性は「何か自分にも手伝えることがあれば」という思いから、仕事前の1〜2時間ボランティアで避難所へ通っているといいます。

 すげの市議は20日も、食料の買い出しに並ぶことのできない高齢者に、おにぎりやみそ汁をつくって訪ねました。「人の役に立ちたいという思いが集まった力のすごさを感じています。今後は避難所から家に帰った後も、食事や部屋の片付けなど支援が行き届くように力を尽くしたい」(岡素晴)


避難所で炊き出し

「カレー大好き」

川崎市

 東日本大震災の被災者の避難所となった川崎市中原区の「とどろきアリーナ」で、神奈川県の日本共産党支部や後援会は20日、避難者にカレーライスの炊き出しを行いました。むねた裕之県議予定候補、市古てるみ、おおば裕子両市議も参加し、前日には住民への聞き取りをしました。

 市は、川崎区の市体育館に緊急の一時避難所を設置しましたが、19日から正式な受け入れ場所として、とどろきアリーナに新たな避難所を設置。20日午前11時45分時点で、福島県南相馬市、いわき市などから107人が避難しています。シャワーなどは利用できますが、食事の提供はありません。

 「お袋が人工透析をやっている。ところが向こうでは、どこの病院も受け入れができない。こちらの病院で受け入れてくれることになって伺いました」というのは、福島県いわき市の男性(44)。「カレーはおいしかった。みんなに温かくしてもらえるのでありがたい」と安心した様子でした。

 9歳から12歳の子どもグループは、「カレーは大好物」「おいしい」と笑顔でした。

 前日も市体育館で、党支部・後援会が温かいご飯や豚汁などの炊き出しを行いました。避難者の要望を受け、佐野よしあき市議が支部・後援会に相談し、実施しました。(神奈川・河野建一)


携帯通信が可能に

移動式基地局が到着

宮城・女川町

 東日本大震災の大津波で壊滅的な打撃を受け、通信不能な状態が続いていた宮城県沿岸部でも徐々に通信が回復してきています。

 18日には女川町の女川第二小学校にNTTの移動式基地局が到着。これまで携帯電話が「圏外」だった同町でも通信可能な地域が生まれています。

 移動式基地局の設置については、日本共産党現地対策本部の高橋ちづ子本部長が17日に気仙沼市を現地調査。元NTT職員の秋山善治郎市議から「気仙沼では携帯電話が使えない。移動式基地局で早く通信状況を改善してほしい」という要望がありました。

 同行した横田有史、遠藤いく子の両県議は、その日のうちに県の対策本部に要請。対策本部は「ソフトバンクから移動式基地局派遣の申し入れがあり、派遣場所について市町村に要望を聞いている段階です」との回答を得ていました。

 横田県議は「まだ通信が回復していない避難所や山の陰にある集落など、多数残されており、引き続き移動式基地局の展開を求めていきたい」と話しています。(矢野昌弘)





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