2011年3月20日(日)「しんぶん赤旗」
武力行使か停戦か
リビア 関係各国が協議
国連安全保障理事会が、リビアに対する武力行使を認める一方で即時停戦を求めた決議1973を採択したことを受け、英国のキャメロン首相は18日、下院で、戦闘機などを展開すると発表しました。リビアのクーサ外相は同日、同決議を受け入れ、すべての軍事行動を停止すると表明。武力行使か停戦か、関係各国が協議を続けています。
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英「行動見て判断」
【ロンドン=小玉純一】英国のキャメロン首相は18日、リビアのクーサ外相の停戦発表を受けて、「言葉でなく行動で判断する」と英国放送協会(BBC)に述べました。
首相はそれに先立ち、下院で武力行使の準備に着手したことを報告。続く質疑では、最大野党・労働党のミリバンド党首が政府決定を歓迎しました。
他方、同党のコービン議員は「バーレーンやイエメンのように市民への攻撃があるところどこに対しても干渉を準備するのか」とただしました。
反戦団体「戦争阻止連合」は「リビアへの軍事干渉は紛争を終わらせず、エスカレートさせる」と批判。同日、首相官邸前で行われたリビア軍事攻撃反対行動では、「リビアへの軍事干渉反対」「中東から手を引け」といったプラカードが並びました。
米、決議実施協議へ
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は18日、国連安保理が対リビア武力行使容認決議を採択したことをうけ、ホワイトハウスで声明を発表し、クリントン国務長官を19日にパリに派遣して、欧州やアラブ諸国と決議実施に向けて協議すると発表しました。
オバマ氏は、ゲーツ国防長官に対し、軍事面での準備を関係諸国と調整するよう指示したことも明らかにしました。
オバマ氏は、リビアのカダフィ政権に対し、即時停戦、暴力の中止など安保理決議に従うよう改めて要求。「カダフィ大佐が従わないなら、軍事力によって決議を執行する」と警告しました。
一方、「米国は国際的な連合の一員として行動する」と述べて、単独行動を否定。「米国は、地上部隊をリビアに展開しない。市民の保護という明確に定められた目標を超えた武力の行使を行わない」と強調しました。
NATO「決議支持し行動」
【ロンドン=小玉純一】北大西洋条約機構(NATO)は18日、ブリュッセルで加盟28カ国の大使級会合を開き、リビアへの武力行使を認めた安保理決議採択を受けた対応を協議しました。ラスムセン事務総長が会見し、「決議を支持し適切な行動をとるため、計画策定を終えつつある」と述べました。
高官がメディアに語ったところによれば、NATOが軍事作戦に参加するかどうかの決定には至りませんでした。NATOは飛行禁止措置の実施支援にとどまり、空爆は英仏などが行うもようです。
計画にはドイツ、トルコが保留を表明しましたが、合意を阻むことはしませんでした。
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