2011年3月20日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 古代の中国の教訓話に、まさかりをなくした男の話があります。男は、隣の家の息子があやしいとにらみます▼いったん疑いだすと、隣家の息子のすることなすこと言葉つき、すべてが盗んだ人間のように思わせる。しかし、まさかりはみつかります。疑いが晴れると、隣家の息子のすべてが善人のようにみえてくる▼疑心暗鬼。疑いが起こると、心の中にありもしない化け物を生むようになんでもないものまでこわくなる。福島原発の事故をめぐる政府・電力会社の説明が、疑心暗鬼を生んでいるように思えてなりません▼「大丈夫」「落ち着いて」といいつつ、避難地域を広げてゆく。原発周辺ならいざというときの避難場所は決まっている、と思っていたら大間違い。入院患者や寝たきり老人を避難させる段取りもない。いつの間にか農産物が汚染される。テレビに出る学者からも、「原発でなにが?」の科学者らしい解説が聞けません▼なにを信じていいのか。誰が安全を保障してくれる。人々の不安が募って当然です。ドイツ大使館が仕事を大阪に移したり、米軍の家族が帰国したりするのも、不安をぬぐいながら最悪の事態に陥った場合に備えているからでしょう▼疑心暗鬼を解くには、中国の話でみつかったまさかりのような証拠がいります。「安全」の証拠がなければ、人々が判断を誤らないよう確かな情報を。もちろん、政府が情報とともに安全を守る万全の備えを示せなければ、心に生まれた“原子の化け物”は追い出せません。





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