2011年3月13日(日)「しんぶん赤旗」

主張

被災者救援

1分でも早く、1人でも多く


 東北地方を中心に、各地を襲った大きな地震と津波は、捜索活動が本格化するとともに、文字通り甚大な被害をもたらしたことが明らかになってきています。大津波で町そのものが壊滅したところもあります。地震で建物が倒壊したり、火災で焼かれたりした地域もあります。被害は広範囲であり、しかもあらわれ方は多様です。

 跡形をとどめない町並みや津波で水につかったままの住宅…。いま必要なのは一刻も早い救出と被災者の救援です。1分でも早く、1人でも多くと切望します。

被害を最小限に抑える

 被害の全体像はまだ分かりません。しかし、映像などで伝えられる被災状況から、大地震と大津波が多くの人の生命を奪ったことは確実です。1896年にこの地域を襲った「明治三陸大津波」の死者2万2千人の記録さえ思い起こさせるものがあります。

 現地の天候は晴れてきたとはいえ寒さは深刻です。救援の手が届かず周辺から孤立し、住まいさえ奪われ、海水にもぬれたままでは、それこそ生命にもかかわることになります。1分1秒でも早い救出が、被害を最小限に抑えることになるのは明らかです。

 被災地には全国から消防や警察、自治体職員や自衛隊などが駆けつけています。国外からも支援の申し出が相次いでいます。交通の途絶などさまざまな困難はありますが、救援の手が足りないため、助かる命を失うことになったというのは絶対許されません。あらゆる手段を総動員して、力をつくすことが求められます。

 いったい、マグニチュード(M)8・8という世界最大級の地震は、どれほど甚大な被害をもたらすものなのか―。

 地震が多く、たびたび津波にも見舞われてきた三陸地方は、住宅を高台に造るなど、日ごろから対策を心がけているといわれてきました。しかし10メートルをはるかに超えたと見られる津波には、それも限界がありました。流された住宅や周りを水に囲まれた建物からの救出を急ぐとともに、対策の見直しも必要になります。

 なかでも「安全」と宣伝されてきた原子力発電所で、万一の場合の緊急炉心冷却装置(ECCS)が動かず、燃料棒の一部が溶け出し、あってはならない炉心溶融の危険が現実のものとなったことは重大です。半径20キロメートル以内の住民に避難指示が出されていますが、地震や津波で道路が寸断されているなかで、第1原発だけでも数万人を超す対象住民を、短時間で移動させるのは容易ではありません。12日午後には原発建屋で爆発もありました。

 必要な住民の避難を急ぎ、最悪の事態を避ける手だてをつくすとともに、原発は「安全」という、破綻した“安全神話”そのものの見直しが不可欠になります。

人命を最優先して

 大きな災害に際してなにより大切にされなければならないのは、人の命です。国民の生命をまもり、安全を確保することこそ、政治の使命です。

 被害を受けた人たちの救出・救援に全力をあげるとともに、ケガをした人たちに医療や薬品を届けること、被災した人たちに避難場所や食事や寝具、日用品などを提供することなどやるべきことはたくさんあります。いまこそ政治がその役割を果たすべきときです。





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