2011年3月13日(日)「しんぶん赤旗」

沿岸 甚大な被害

原発で爆発 住民被ばく

死者・不明1300人超


 東日本を襲った巨大地震による死者は12日、東北地方を中心に12都道県で700人を超えました。行方不明は640人以上で、岩手県陸前高田市や宮城県女川町など壊滅的な被害を受けたとみられる地域が複数あります。死者・不明者は1300人を大きく超える恐れがあり、時間とともに被害は広がっています。被災した福島県の東京電力福島第1原発1号機では、高温のため核燃料棒が溶ける「炉心溶融」が起きている可能性が高いことが判明。同日午後には爆発音があり、建物の一部が崩落しました。この事故で3人が被ばくしました。


 各県警などによると、同日夜までに、岩手県341人、宮城県178人、福島県144人の死亡を確認。これとは別に仙台市若林区で見つかった200〜300人とされる遺体についても、収容作業が徐々に進められています。

 建物の屋上や内部に取り残された人々への懸命な救助・救出活動が続きました。

 宮城県などによると、気仙沼市や多賀城市などで大規模な火災が発生。気仙沼市は津波で市街地の3分の1が水没し、気仙沼湾に浮かぶ大島の4集落が壊滅状態となりました。女川町もほぼ壊滅といいます。県内の高校や病院など計423カ所に約6万人が避難。

 岩手県では陸前高田市の多くの地域が水没し、山田町や宮古市の一部も水没。福島県では南相馬市の約1800世帯が壊滅状態といいます。

避難対象の地域を拡大

 東北地方太平洋沖地震で被災した東京電力の福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機で12日午後、爆発が起こりました。同日夜、記者会見した枝野幸男官房長官は、建屋が壊れたが、原子炉格納容器には損傷はなかったと説明しました。

 爆発があったのは午後3時36分。ドーンという爆発音が聞こえ、同40分に白い煙が確認されました。東電によると、同社社員など4人が負傷。

 枝野官房長官は、爆発から2時間半ほどたった夕方の会見では具体的説明をしませんでしたが、午後9時前の会見では建屋内に漏れた水蒸気から水素が生成し、空気中の酸素と反応して爆発したと説明しました。

 また、爆発前の午後3時29分には現場敷地境界で1015マイクロシーベルトの放射線を確認。爆発後の午後3時40分には860マイクロシーベルトとなったと述べました。

 経済産業省原子力安全・保安院は、1号機で核燃料棒が高温で溶ける「炉心溶融」が起きているとの見方を示しました。1979年の米国のスリーマイル島原発事故と同じ現象で、日本の原発では最悪の原子力災害が発生したことになります。

 保安院によると、1号機周辺で、放射線医学総合研究所のチームが放射性物質のセシウムを検出。セシウムは核燃料棒に含まれており、溶ける温度が高いことから炉心溶融を起こしている可能性が高いと推測されるといいます。

 福島県は12日夜、首相官邸からの指示で福島第1原発の避難対象地域を広げ、半径20キロ圏内に拡大。第2原発については、これまでどおり半径10キロ圏内としました。

 福島県が12日夜、爆発のあった福島第1原発1号機から10キロ圏内にある、避難対象の双葉厚生病院の入院患者と職員ら計90人のうち3人を検査したところ全員被ばくしていました。この3人は、同県によると爆発時に近くの高校グラウンドにいました。医師の判断で除染の手続きを自衛隊に要請しました。





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