2011年3月11日(金)「しんぶん赤旗」

アフガン治安 泥沼

増える民間人犠牲

国連報告 昨年15%増2777人に


 アフガニスタンで2010年に戦闘に巻き込まれるなどして死亡した民間人が前年比15%増の2777人に達し、反政府勢力による民間人暗殺は倍増した―。国連アフガニスタン支援団(UNAMA)が9日、報告書で明らかにしました。米国は14年までにアフガン政府への治安権限の移譲を完了させる計画ですが、治安改善のめどは立っていません。  (安川崇)


 報告書によると、年間の民間人死者数は4年連続で増加しており、4年間の合計は8832人に上ります。

 10年の死者の75%にあたる2080人が、タリバンなど反政府勢力による攻撃の犠牲者で、前年比で28%増えました。また、反政府勢力に暗殺された民間人は、同105%増の462人に上りました。

 報告は「アフガン政府や外国軍を支援しているとみなされた人物や家族」が暗殺の標的になっていると指摘。地方の行政官や部族長、医師、教師らが「裁判外の処刑」の対象になったほか、援助関係者も誘拐や殺害に遭ったとしています。

 一方、外国軍やアフガン治安部隊の活動による民間人の犠牲者は440人で、前年より26%減りました。

 これについて報告書は、外国軍側が民間人被害の抑制策を講じた結果だと説明。しかし同時に、「ますます多くのアフガン市民が、外国軍が駐留していることが治安悪化の原因であり、民間人殺害が増えた原因でもあると考えている」とも指摘しています。

 外国軍による民間人の殺傷が発生するたびに、アフガン側が反発し、国際治安支援部隊(ISAF)側が調査や賠償を表明するという構図が繰り返されています。

 1日にISAFの攻撃で子ども9人が死亡した事件では、ペトレアスISAF司令官が6日、カルザイ大統領に謝罪。同大統領は「国民はうんざりしている。言い訳も非難も、痛みを癒やしはしない」と応じています。





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