2011年3月1日(火)「しんぶん赤旗」

共産主義禁止条項 削除へ

60年続いた政策に転換期

台湾・立法院


 台湾の「行政院」(内閣に相当)は2月24日、「国家安全法」と「人民団体法」から共産主義の主張を禁止する条項を削除する改正案を決定しました。改正案は「立法院」(国会に相当)に送られ、審議される見通しです。改正の動きは、台湾政権が60年あまり続けてきた「反共」政策が転換を迎えていることを示しています。

 現行の「国家安全法」は「人民の集会、結社が共産主義を主張し、または国土の分裂を主張することを禁止する」と明記。「人民団体法」にも同様の禁止条項があります。

 憲法裁判所である「大法官会議」(15人)が構成する「司法院」は2008年6月20日、共産主義や国土分裂の主張を禁止する「人民団体法」の条項は、「結社と言論の自由」をうたう憲法と「相いれない」とする同会議の議決に基づく新「解釈」を発令。当該条項の即日失効を宣言しました。

 治安などを管轄する「内政部」(内務省に相当)は、この「解釈」に基づいて、「人民団体法」「国家安全法」の改正草案づくりに着手。昨年6月までに改正草案を「行政院」に送付していました。

 「内政部」は、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(国際人権B規約)への違反を避けるための改正だと説明。人権分野で国際社会と歩調を合わせる姿勢を強調しています。

 また、「国家安全法」改正案は、中国本土や香港、マカオとの間を往来する台湾住民などに政府の「主管機関」からの許可取得を義務づけた条項も削除しています。

 台湾では、08年の立法委員選挙と総統選で独立志向の強い民進党が敗北。中国との関係強化を目指す国民党が政権に復帰し、昨年6月には両岸経済協力枠組協議(合意)を締結するなど、経済・貿易や要人の往来が盛んになっています。このため、両岸交流を制約する「反共」的な法令は、今日では事実上意味をなさなくなっている事情もあります。

 一方、「国土の分裂」の主張を禁止する条項の削除は、台湾の分離・独立を求める勢力の主張をも合法化することになるため、中国側の反応や立法院の審議の行方が注目されます。 (林信誠)





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp