2011年2月21日(月)「しんぶん赤旗」

公務員攻撃

2万5000人反撃デモ

米ウィスコンシン 他州に波及


 【ワシントン=小林俊哉】米国の多くの州で、深刻な財政赤字を理由にした公務員への攻撃が強まっています。それに対し、公務員の待遇改悪に反対するデモも各地に広がり、中西部ウィスコンシン州を皮切りに、大規模な反撃が始まりつつあります。

 同州のウォーカー知事(共和)は、36億ドル(約2990億円)にのぼる財政赤字の削減策として、警察、消防を除く公務員の医療保険負担、年金負担を、これまでの労使合意に反して大幅に引き上げる案を提示。労組の団体交渉権を剥奪することも盛り込みました。攻撃対象の多くは、教職員となっています。

 これに反対する労働者や支援者、家族ら約2万5000人が17日、州都マディソンの議事堂前に詰め掛け、大規模デモを展開。同日、オバマ大統領は地元メディアに、知事の提案を「労組への攻撃だ」と語り、労働者側への理解を示しました。

 米メディアも、この動きを大きく取り上げ、デモ参加者が「ここは、われわれのカイロだ」などと、エジプト国民の民主化要求になぞらえて、労働者の権利保護の正当性を主張する声を報じています。

 18日には、米国最大のナショナルセンター、米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)が、ウィスコンシン州の労働者のたたかいに連帯を呼び掛けるフェイスブックのサイトを立ち上げ、支援を呼び掛けるメールも一斉に送信しています。

 一方、知事側は同案を推進する姿勢を崩していません。同州上院は、知事案に反対する野党・民主党が審議を拒否し、議会の開会が延期されています。

 米メディアによると、デモの波は、同様の公務員攻撃を計画している別の州へも波及。オハイオ州では、州議会の公聴会に数千人の労働者が詰め掛けて抗議を表明。インディアナ州でもデモが計画されているといいます。

 いずれも、共和党知事が財政再建策として、公務労働者の待遇改悪策を計画し、労組と野党が反対する構図となっています。





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